令和4年4月1日から成人年齢が18歳になりました

 改正民法の中で成人年齢に関する箇所が令和4年4月1日より施行されました。成人年齢は18歳に引き下げられました。18歳または19歳の方は、本日から成人として扱われます。但し、酒やタバコといった嗜好品の使用、公営ギャンブル等への参加は認められません。

 成人年齢の引き下げは、賃貸不動産のオーナー様にも影響します。18歳以上20歳未満の方が賃貸物件への入居を希望する際は、従来は法定代理人(通常は親)を借主とする賃貸借契約を締結していましたが、4月1日からは法定代理人を借主とする必要はなく、収入に関する要件を満たせば単独で賃貸借契約を締結できるようになりました。

賃貸借契約に関する実務への影響

1.入居希望者が18歳または19歳の大学生である場合

 借主が賃貸物件に入居する際には賃貸借契約を締結しなければなりませんが、契約を締結するためには借主において家賃を満足に支払えるだけの収入がなければなりません。

 確かに成人年齢が18歳になりましたが、18歳または19歳であれば、それだけで直ちに賃貸借契約を締結できることにはなりません。家賃に見合う収入がなければ、18歳または19歳の方が自己の名義で賃貸借契約を締結することは認められないのです。

 成人年齢が引き下げられたことに関する報道ではこの点がすっぽり抜け落ちています。このため、18歳以上であれば誰でも自己の名義で賃貸借契約を締結できるようになったと誤解されている方が多くいらっしゃると思います。

 どのくらいの収入があれば賃貸借契約を締結できるかですが、手取りの月収が家賃(共益費を含む)の3倍を超えているかが一つの目安になります。例えば、月収30万円の単身者であれば手取りは25万円前後のことが多いので、月家賃(共益費を含む)8万円強の物件までであれば借りられることになります。

 東京都内(城南地区)の場合、若者が一人暮らしをするアパートの家賃相場は最低でも6万円であり、そこそこ快適なところでは8~9万円、広い場合は10万円以上になります。

 6万円の家賃の部屋に住む場合、手取り収入が18万円以上である必要があります。税込み月収では概ね23万円前後と思われます。大学生の場合、アルバイトをしている場合でも23万円もの月収を得ている方は極めて少ないと思われます。

 このため、大学生が賃貸アパートを借りる場合は従来通り法定代理人を借主として賃貸借契約を締結することになります。成人年齢が引き下げられましたが、大学生が賃貸物件を借りる際には従来通り法定代理人を借主とする必要が生じることがほとんどであると思われます。

2. 入居希望者が18歳または19歳であるが、就職している場合

 高等学校または中学校を卒業後すぐに就職した方の場合は、収入の要件を満たしかつ賃貸保証会社が保証契約を引き受けることを条件として法定代理人を借主とすることなく単独で賃貸借契約を締結できます。

 つまり、物件の選定に際しては法定代理人の意見に従わなくても賃貸借契約を締結できるようになりました。なお、学校を卒業後直ちに就職する際は、家賃保証会社により保証契約の引き受けに応じてもらえない場合があり、この場合は法定代理人が借主になる必要があります。