賃貸住宅の空室を不正薬物の受け取りに悪用されないために

全国賃貸住宅新聞の記事から引用します。

※掲載社の都合により元記事が削除され、リンクが切れることがあります。あらかじめ御了承願います。

不正薬物受取に空室悪用
東京税関
2022年03月28日紙面

 覚醒剤や大麻といった不正薬物の受け取りに空室が悪用されている。賃貸住宅が犯罪の温床とならないよう、オーナーや管理会社は、巡回などの際に不審なサインを見逃さないことが重要になる。

巡回頻度低い物件が標的

 コロナ下で急増する貨物や郵便での密輸 2月に大阪府の高校で、生徒から没収した大麻を教師らが隠したとして、大麻取締法違反の容疑などにより書類送検された報道を目にした読者は多いだろう。オーナーや管理会社の中には、自分に関係のない話だと考えている人もいるかもしれないが、その認識は一度改めたほうがよさそうだ。

 実は、海外から送られてくる不正薬物の受取先として賃貸住宅の空室が悪用されている。

~略~

 東京税関では、取り締まりを強化するため、賃貸管理会社に空室悪用の手口について、情報の発信や提供を求めている。

 それでは、どのような手口で不正薬物が空室で受け取られているのか。その一つが、空室の郵便受けを使うケースだ。まず、郵便物などが入れられないようにしている郵便受けの投函(とうかん)口のガムテープを剥がして、偽名の表札を貼っておく。郵便局や運送事業者が不在連絡票を入れた後に抜き取り、転送先を指定したり、住人のような顔をして取りに行ったりする。他にも「置き配」を指示して、運送事業者が荷物を置いた後に、回収するケースや空室に不法侵入し、入居者として受け取ることも一部ではあるようだ。

~以下、略~

全国賃貸住宅新聞

 賃貸物件が犯罪の拠点として利用されたとしても、それだけでは直ちに事故物件になることはありませんし、入居希望者に対する告知義務もありません。

 しかし、内装リフォームを行い内部を綺麗にしたにもかかわらず、その部屋が何者かに利用された場合、室内を汚されることがあります。

 また、空室である場合、通常は次の入居者を募集しています。このため、内見をするためにお客様と不動産会社の従業員がお部屋を訪れることがあります。不審者が室内にいる場合、お部屋の鍵を現地の郵便受けに入れている物件ではこの鍵が持ち出され、玄関扉が内部から施錠されています。

 この状況では内見を行えないので、オーナー様におかれては入居希望者を逃しますので機会損失になります。

 さらに、鍵を開けて部屋に入った際に侵入者が在室していると、状況によりとても危険です。

 オーナー様としては、賃貸物件の空室を悪用されないようにくれぐれも注意する必要があります。そのためには以下の5項目が重要であると考えられます。

1.空室なのに、郵便受けや部屋の玄関に見慣れない表札が貼られている部屋がないかを確認する。
 →内見目的ではない不審者が在室している気配がある場合は警察に通報する。

2.郵便受けの投函口にガムテープを貼っている場合は、それが剥がされていないかを確認する。
 →剥がれている場合は再び貼り、巡回の頻度を増やす。

3.お部屋の鍵を現地対応にしている場合は、裸の状態または封筒に入れた状態で郵便受けに入れない。
 →不動産会社に対し、キーボックスに入れるように依頼する。

4.共有部を清掃し、綺麗にする。階段および廊下には入居者の私物を置かせない。
 →巡回の頻度が高い物件であると見做されることから犯罪の拠点になりにくい。

5.防犯カメラを設置する。
 →予算がなければダミーのカメラでも構いません。