現地訪問を断られる物件は、購入しないのが賢明

 ネット上で興味がある物件を見つけ、当該情報を掲出している不動産会社に内見を依頼しても、何故か断られることがあるようです。

 特に収益用不動産(1棟マンション、アパートなど)の場合に多いようです。「賃貸中なのでお見せ出来ません。プロの投資家は物件資料を見ただけで即座に決断してます。早く決断しないと他の方に先に買われてしまいます。現地訪問は不要です。」等と言われたという話をよく聞きます。

 収益用不動産の場合、確かに賃貸中の室内に対する内覧は許されていません。筆者に対し「賃貸中とはいえ、内覧ができないなら購入しません。」と言われた方がいらっしゃいます。しかし、賃貸借契約は室内を第三者に見せることを禁止しています。

 賃貸中のお部屋の内部を見ることは出来ませんが、現地を訪問して共用部を確認することは可能です。また、空室がある場合は、購入を検討する方が室内を確認しても問題はないはずです。

 建物が適切に維持管理されているかは必ず確認するべきあり、そのためには現地訪問が欠かせません。雨漏りの有無、清掃が行き届いているか、オートロックやエレベーターにおける故障の有無は必須の確認事項です。

 建物の外壁に大きな亀裂が入っている、外階段の傷みが激しくいつ崩落してもおかしくない等の物件もありますので、現地確認は必ず行うべきです。

 物件の内覧を依頼しても断られる場合、欠陥の存在を見抜かれる恐れがあるために断っていることがあります。「プロの投資家は現地確認をしません。」等というのは真っ赤なウソです。このようなことを言われた場合、当該物件の購入はお勧めしません。またその不動産会社を利用することも避けるべきと考えます。

 実需用不動産(自己居住用)の場合も、人気があるエリアの物件である場合に営業担当が「内見の必要はありません。他の方に先に買われる前にこの場で購入を決断してください。」等と言い、購入を急かすことがあるようです。

 しかし、これは他のお客様に先に購入されてしまうことを避けるための方便であることが多いです。現地を確認されると困る、何らかの事情があるのかもしれません。この場合も、当該物件の購入はお勧めしません。

 不動産の購入を検討する際に、写真や資料だけで購入の可否を判断することが危険なことは、少し考えればわかるはずです。しかし、「早く決断しないと他のお客様に先に買われてしまう。」と考えるあまり、焦って購入し、後で後悔される方が沢山いらっしゃいます。

 「不動産を焦って購入した結果、数々の問題点があることが判明した。解決策を教えてほしい。」、「売主に損害賠償を請求できるか判断してほしい。」等を筆者に相談される方がいらっしゃいます。しかし、「契約不適合責任の免責特約」が売買契約書に盛り込まれていると、損害賠償の請求はかなり困難です。

 現地訪問や内覧を断られた場合、その物件は購入しないことが賢明です。