収益用不動産を購入する際には現地訪問が必須

 最近、賃貸アパート、賃貸マンション等の収益用不動産に対する引き合いが急増しています。老後に2,000万円を持っていないと大変な目に遭うなどの報道が大々的に行われたことが、引き合い増加の理由の一つであると思われます。

 1棟あたりの金額は1億円を超えることが多いことから、取り扱い商品のメインに位置づけている不動産仲介会社が多くあります。

 収益用不動産に関する売買情報の中で、インターネットに公開されるのは一部のみです。ネットに公開した場合、賃借人が騒ぎ出す恐れがあり、近所に悪い噂が立つと困るからです。収益用不動産に関する売買情報の多くは不動産会社同士のみで共有されていることから、お客様の多くは不動産会社に赴き、物件情報を得ています。

現地訪問を断る不動産会社が存在する
 収益用不動産の購入を検討している方が物件を紹介され、気に入ったことから現地の訪問を希望した際に、現地の訪問を頑なに拒む不動産会社があります。「収益物件の場合、オーナーといえども賃貸中の部屋には立ち入れないので訪問しても意味がありません。」等と言われることがあるようです。

 このように言われたら、この物件自体に何らかの問題があることを疑うべきです。後述しますが、現地を訪問して確認すると、その欠陥が明らかになり、購入を直ちに断わられる可能性が高いと不動産会社の営業担当が判断していることがよくあります。

 その他に、早く契約しないと他の方が先に契約してしまうので、少しでも1分でも早く契約して自分の成績にしたいという営業担当者の思いからそのような説明をすることがあります。このような営業担当は、お客様の正当な要望よりも自分の成績を優先しており、この営業担当を通じて物件を購入した場合、後悔する恐れが極めて高いです。

全ての部屋が満室であっても、現地訪問の意義あり
 全ての部屋が満室であっても、物件のチェックポイントは数多くあります。賃貸中の部屋への立ち入りはできなくても、共用部の確認は可能です。その他にも確認が必要な箇所が数多くありますので、現地を訪問して確認する意義はとても大きいです。

1.共用部の状況確認
 管理会社の担当者が管理を放任し、共用部の階段や廊下に多くの物が置かれている物件があります。階段に植木鉢が数多く置いてある物件がありますが、災害の際に危険です。

 素人目に見ても清掃が行き届いていない物件がありますし、階段や廊下などの照明が壊れたまま放置されている物件があります。現時点までに行われてきた管理の状況を物語っています。

 オートロックの扉が開閉する際に異様な動きをしないか、ロックの解錠方法は何かを確認します。ロックが暗証番号式である場合、先日の投稿に記載した問題が生じるので、改修が可能かを確認します。故障していることから開いている扉を人が通過する際に突然扉が閉まる等の異様な動きをする物件は論外です。

 エレベーター付きの物件である場合、昇降の際に異音がしないか、籠が動き始める、または停止する際に大きな衝撃や揺れを感じないか、点検記録が保存されているかを確認します。

 オートロックやエレベーターに異常が見つかった場合、売主が修理費の支出を惜しみ、故障を知りながら放置していることがあります。このような物件は購入するべきではありません。

 屋上がある場合、立ち入り禁止措置が執られているか、誰でも自由に入れる場合には高い柵が設置されているかを確認します。

2.外壁にひびがないか
 鉄筋コンクリートに収縮クラックが生じている場合でも、クラックが微細で外壁塗装がしっかり行われていれば問題無いことが多いです。しかし、クラックが大きく、赤さびが生じている等の場合は建物の強度が大きく低下しており、大地震の際に建物が倒壊する危険があります。

3.明らかに異様な外観の部屋がないか
 バルコニーが鳥の糞で汚れている部屋が見つかることがあります。入居者が部屋を野鳥に開放し、日常的に餌やりをするとこのような状況になります。この部屋の賃借人は、管理会社が注意しても聞き入れない性質なのでしょう。

 また、バルコニー全体に覆いをかぶせ、外部から全く見えないようにしている部屋があります。その部屋は何らかの犯罪(特殊詐欺など)に利用されている場合があります。

 これらの物件を購入すると、後が大変です。

4.周囲の環境
 近くに工場があり、平日はそこから発生する騒音が酷い物件があります。また、物件の前面道路に葬祭場がある場合、喪服を着た方が物件の前を毎日通行することになります。これらの物件は、入居希望者において嫌悪される傾向があるので、空室が発生すると次の入居者がなかなか決まらないことがあります。

 土曜日、日曜日に訪問しただけではわからないことが多いので、平日の日中にも訪問して確認することが重要です。

5.建物の立地
 建物が盛り土の上にある、または切り土の下にある物件は注意が必要です。

 特に建物が盛り土の上にある場合、盛り土が崩壊して下にいる人が死傷した場合に民法における「土地の工作物設置責任」に関する規定により多額の損害賠償を請求されることがあります。マンションの建物が盛り土の上にある状況で盛り土が崩れ、盛り土の下にある道を通行している高校生が死亡した事故が発生したことから損害賠償を請求される事案が現に発生しています。

6.空き部屋がある場合は必ず内見する
 共有部および建物の外側を見ただけではわからなかった問題点が見つかることがあります。コンセントの位置および数に関する問題がないか、水回り設備が劣化していないか、施錠できない窓ガラスがないか、正常に排水できるか等がチェックポイントになります。

 また、ペット臭が酷い場合、床板を剥がして消臭できるかについても確認するべき点になります。