福島県沖で発生した地震は、建築資材の需給および価格に影響します

 3月16日の深夜、福島県沖でマグニチュード7.4の大きな地震(福島県沖地震)が発生しました。お亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。

 東京でも大きく揺れました。筆者の家では書棚の本などが一部落ち、散らかりました。この地震については、東京ではウクライナに対するロシアの侵攻、および新型コロナウイルス感染症オミクロン株の報道に隠れてしまい、ほとんど報道されていない感があります。

 JR東日本のWEBサイトによると東北新幹線は郡山~一ノ関が不通であり、全線開通は4月20日頃になるようです。東北本線および常磐線も線路や橋脚に損傷が確認されたことから不通になりました。3月22日頃から順次運転が再開されるようです。その他には福島県内の阿武隈急行が不通で、こちらは運転再開の目途が立たないとのことです。

 問題なのは、工場および住宅に対する被害状況があまり伝わってこないことです。トヨタ自動車および部品納入会社の工場は稼働を停止しているところが多くあるようです。建物の損壊状況については、SNSに崩れかけた建物の写真が多数アップされています。

 新型コロナウイルス感染症がなかなか終息しないところに今回の大地震です。今後は物的な被害状況が明らかになると思いますが、全壊または居住不適と認定される住居はかなりの数になると思われます。

 心配なのは新型コロナウイルス感染症の流行が止まらないために住宅用部材、特に水回りに関する部材の供給が未だに滞っていることです。水回り部材の多くは東南アジアから輸入しているのですが、現地の工場が新型コロナウイルス感染症のために閉鎖されていることが主な原因です。

 東京都区内では収益用不動産(賃貸アパート、賃貸マンション)の建設ラッシュが続いています。しかし、住宅用部材がいつまでも納品されないことから建築確認申請における完成検査を行えない物件が数多くあります。困ったことに「春の繁忙期」であるにもかかわらず入居希望者の募集ができない新築物件が多数あります。

 それに加えて今回の大地震です。被災地では今後、建物の修理および再建築が始まると思いますが、建築資材の需給バランスは既に大きく崩れています。このままでは部材が何ヶ月も手に入らない事態になる可能性が高く、価格も高騰が避けられません。

 解決する方法は新型コロナウイルス感染症を一日も早く終息させることですが、問題は東南アジアにおける流行なので、日本一国だけで何らかのアクションがとれる問題ではありません。

  収益用不動産(賃貸アパート、賃貸マンション)をこれから新築することを検討している方は、物件の竣工時期が大きく遅れる可能性があることを念頭に置いておく必要があります。