初心者が買ってはいけない収益用不動産(その2)

昨日の投稿の続きです。

6.店舗や事務所が入居している、1棟ものの収益用不動産
ビルの1階および2階に店舗や事務所が入居している物件があります。コロナ禍であることから飲食店、小売店、およびマッサージ店の廃業が相次いでいます。

廃業した際に原状回復を行ってくれるのであれば良いのですが、原状回復費用を工面できないとして厨房設備や什器備品を残置した状態で退去してしまう場合があります。保証金だけでは賄えず、原状回復費用の多くをオーナーが負担しなければならないことがあります。

また、入居している企業がM&A等により売却されると、入居者が入れ替わることがあります。入れ替わった後に業態を変更することがあり、それがオーナーが気に入らない業種や営業形態であることがしばしばあります。

数名以下の従業員しか出入りしない事務所であればそれ程問題にならないことが多いのですが、不特定多数の来訪を前提としている事務所が入居している場合は共用部分が汚くなりがちです。

上層階が賃貸マンションである場合、これらの賃貸マンションへの出入り口が店舗事務所と共通であると入居希望者の心証が良くなく、空室が発生した際に次の入居者がなかなか決まらないことがあります。

7.敷地の権利が借地権である物件
これについては、先日の投稿に詳しく書きました。土地の賃貸借契約を更新する際に多額の更新料が発生しますし、担保価値は低く評価されます。購入はお勧めしません。

8.トラブルメーカーが入居している物件
夜中に騒ぎ出したり大音量の音楽を流すトラブルメーカーがいる物件です。また、同じ建物内の住人とのトラブルが頻繁に発生し、罵り合いや暴力沙汰がよく発生している物件があります。オーナーや管理会社がいくら注意しても聞き入れてもらえず、トラブル処理に疲れ果てたという理由で売却される物件があります。

価格が相場より安い場合は、特に注意を要します。レントロールを見て、ある部屋の近隣の部屋が全て空室になっている物件は要注意です。

9.建築後40年以上を経過している物件
いわゆる旧耐震の建物になります。1981年6月1日以降に建築確認された建物は新耐震基準を満たしていますが、それ以前の建物は耐震性が低いです。

建築後50年を経過している物件の場合、交通の便がとても良い立地である場合を除き、入居を希望される方はかなり少ないです。退去した場合には、次の入居者がなかなか決まらない状況になります。

再建築の時期が近い物件の価格は安く、利回りがなり良好ですが、再建築の費用と必要期間を見積もる必要があります。

普通賃貸借契約で入居している賃借人がいる場合、建物が老朽化しているという理由だけでは賃貸借契約を解約できません。事情を説明して退去してもらう場合には補償金が必要になりますし、交渉には相応の労力が必要です。

10.建築確認が必要な地域なのにそれを怠っている物件
大都市の都市計画区域内に建物を建築する場合、大半の場所において建築確認が必要です。しかし、これを怠っている物件が散見されます。また、建築前の申請はしているものの、完成後の完了審査が未了の物件は数多くあります。

完了審査を終えていない物件は違法建築物です。建築前の申請さえ行えば違法建築物ではないと誤解されている方が多いですが、完了審査未了の物件は違法建築物です。

担保価値は低く、金融機関による融資の審査は厳しくなります。もちろん、売却する際の査定はかなり低くなります。

ちなみに、建物の利用開始後に建築確認の完了審査を受けることは出来ません。

11.無届けで建築されたアパート、または建築禁止の土地に建築されたアパート
東京都23区内で売り出されていた、ある賃貸アパートに関する物件調査を行ったところ、建築禁止の土地に無届けで建築された物件であることが判明したことがあります。無届けで建築する建築業者が存在します。

建築禁止の土地に建てられた、または無届けで建築された賃貸アパートは、価格が激安でも絶対に購入するべきではありません。行政から取り壊し命令が発令された場合には、回復できない程の損失が発生することがあります。また、将来に売却することは極めて困難です。