2022年における不動産売買の動向について

 年始から良くないことが続いています。新型コロナウイルス感染症が終息しそうだと思った矢先に新型の変異株であるオミクロン株が沖縄県、山口県、広島県で猛威を振るい始めています。東京都においても感染者数が急増し、新たな行動制限を求められる懸念が出ています。

 日経平均株価は1月4日および5日に急騰しましたが、6日は一転して暴落し、7日も下落しています。各種報道によると、アメリカが金融緩和を次第に縮小する方向に動き始めていることが明確になり、NY株価が下落したことが原因であるようです。

 今日は、2022年における不動産売買の動向、特に需給および価格を大胆に予想します。なお、本日の投稿は東京、神奈川、千葉、埼玉における大都市およびその近郊に限定した内容になります。

1.自己居住用の実需不動産(土地、戸建住宅、区分マンション)
 新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の感染状況がどのように推移するかにより大きく変わると思われます。

 オミクロン株による感染が拡大し、都道府県による行動制限が強化された場合には不動産の内見を行う方が激減します。コロナ禍による不況が継続することから企業の倒産および廃業、従業員の解雇および賃金カットが更に進み、不動産の買い替え需要が喪失された状態が更に長く継続することが予想されます。

 つまり、新たに売り出される物件がなかなか出ないことになります。このため、売主が強気になり、不動産価格は横ばい、または上昇することになります。

 しかし、オミクロン株による感染が拡大しない、または拡大してもすぐに終息するのであれば、その後は買い替え需要が創出され、数多くの物件が出回ることになると予想されます。価格は需要と供給とのバランスにより適正な状態になり、現在よりもやや安い価格で取引されると思われます。

 2022年は、生産緑地の指定解除が多く申請されると思われます。しかし、昨日の投稿に記載した通り、不動産価格を大きく変動させる要因にはならないと考えています。

 区分マンションは、旧耐震の物件が多く売り出されると思われます。旧耐震の建物は建築されてから40年以上を経過していることから、生命および身体の安全に関わることを心配し、売却される方が多くいらっしゃいます。多くは不動産業者が買い取り、フルリフォームをした上で再販します。

2.収益用不動産(賃貸アパート、賃貸マンション)
 当分の間は利回りの低い物件が多く、かつ新築以外の物件は数が少なくなると思われます。「老後には2000万円が必要」のフレーズがもたらしたインパクトは強烈であり、収益用不動産の需要を大きく増加させました。

 中古物件の場合、数が少ないので売主が強気になり、売り出し価格を高く設定しています。このため、利回りは低くなります。都区内では表面利回り3~5%の物件が増えています。多くの物件において、実質利回りは1.5~3%程度です。

 すると、収益用不動産の買い替え需要も低下します。「老後には2000万円が必要」のフレーズが登場する前は実質利回り6~7%の物件が大半でした。買い替えると実質利回りは1.5~3%程度にしかならないのでは、買い替え需要は消滅します。買い替えた途端に収益が大きく減少するからです。このため、売り出される中古の収益物件は非常に少なくなります。

 この傾向は新型コロナウイルス感染症が終息しても、しばらくは続くと予想しています。物件の数が少なく、利回りが低い物件しかない理由は、主に「老後には2000万円が必要」のフレーズが一人歩きしていることにあります。新型コロナウイルス感染症は無関係であると思われます。

※おことわり
 政治・社会情勢の変化、国際紛争の発生、新型コロナウイルスの新たな変異株発生等の理由により、上述した通りにならないことがあります。予想が外れた場合でも、筆者は一切責任を追いません。収益用不動産の運用(購入、売却を含む)は、自己責任になります。