不動産取引時に偽造の運転免許証等を提示すると重罪

 不動産会社では、契約を締結するお客様に身分証明書を提示していただき、現住所および氏名の確認を行っています。法令及び政令で義務づけられていますし、不動産賃貸、売買のいずれでも、契約の主体を明確にする必要があるからです。

 身分証明書として代表的なのは運転免許証およびマイナンバーカードです。最近、偽造された運転免許証を提示し、特に不動産賃貸契約を締結しようとする方が増えているようです。

 令和2年4月に施行された改正民法及び関連法の改正により、賃貸住宅を新たに借りる際には家賃保証会社の利用を必須とする物件が大半になっています。

 賃借人が賃貸物件の家賃やクレジットカード利用分の返済を滞納した場合、この賃借人は家賃保証会社により必ずチェックされます。新たな転居先への入居を考えても家賃保証会社による審査を通過出来ません。このため、偽名および偽造した運転免許証等を利用し、滞納歴がない別人として家賃保証会社による審査を通過しようとします。

 また、特殊詐欺、栽培禁止対象の植物を栽培する目的で偽名および偽造の運転免許証を利用し、賃貸物件を借りる者がいます。

 不動産売買においても、地面師などが偽造した身分証明書を提示することがあります。不動産会社には、偽造した身分証明書類が提示された場合に見破ることが求められています。見過ごすと家賃の滞納や犯罪行為につながるので筆者の会社では慎重にチェックしています。

偽造した運転免許証やマイナンバーカード、在留許可証等が提示された場合

 偽造の運転免許証、マイナンバーカード、在留許可証等を不動産会社に提示する行為は万引き等とは比較にならない重罪です。

 契約が締結され、物件が引き渡された際には有印公文書の偽造・行使罪、および詐欺罪(物件の鍵を交付させた)に該当します。有印公文書偽造・行使罪は1年以上10年以下の懲役、詐欺罪は10年以下の懲役刑が定められています。

 偽造の運転免許証等を提示して不動産に関する契約を締結させた事案はあまり報道されません。このために周知されていない感がありますが、重罪なので発覚したら間違いなく警察に逮捕されます。立件されたら懲役刑に処せられますし、初犯でも執行猶予がつかず実刑になることがあります。

 不動産会社に提示された身分証明書が偽造であると判明した場合は「入居審査NG」や「契約不可」を伝えるだけでは済みません。いわゆるスーパーや書店における万引き事犯等とは異なり、重罪が規定されている犯罪行為なので、不動産会社としては警察に通報するしかありません。

 いわゆるダークウェブに、身分証明書類の偽造を請け負うところがあると言われています。しかし、偽造した運転免許証やマイナンバーカードを利用して賃貸物件の入居審査を通過させたり、不動産に関する契約を締結することは絶対に考えないでください。これを行うと、ほぼ間違いなく人生が破滅します。