コロナ禍の中で、収益用不動産の購入を検討されている方へ(その5)

※昨日投稿した内容の続きです。

建物の1階および2階に店舗や事務所が入居している物件
 購入の可否を決める際には、全てのテナントについて営業実態および家賃の納入状況などを精査する必要があります。コロナ禍であることから飲食店、小売店、マッサージ店等の廃業および倒産が続いているからです。

 事務所であっても、飲食業や小売業に関わる会社の事業所である場合は廃業、倒産することがあります。入居しているテナントが事務所の場合も注意する必要があります。

 テナント家賃の減額や後払いを認めていた物件でも、コロナ禍が想定以上に長引いたことから家賃の長期滞納に陥り、最終的に廃業を決断するところが増えています。

 特に居酒屋、パブ、バー、スナック等の酒を出して夜間に営業することを生業とする飲食店は、致命的な打撃を受けています。今年の秋から年末以降にかけ、金融機関が緊急に融資した運転資金の返済期限が到来します。このため、廃業および倒産の急増が避けられません。

 原状回復費用を工面できないとして厨房設備や什器備品を残置した状態で退去してしまう場合があります。この場合には原状回復費用をオーナーが負担しなければならないことがあります。この原状回復に要する費用ですが、厨房や排気ダクトの撤去、大型の業務用冷蔵庫や冷凍庫の廃棄等が必要な場合は数百万円以上を要することがあり、預かっている保証金だけではまかなえないことがあります。

 売主が店舗・事務所などのテナントに対し家賃の減額や後払いを承諾していることがありますので、その場合は内容を確認しておく必要があります。テナントの営業実態、家賃滞納の有無については細かく精査する必要があります。

 建物の1階および2階にテナントが入居しており、その多くが閉店している収益用不動産は、かなり安く売られていることがあります。コロナ禍があまりにも長く継続していることから、売主が収益用不動産の維持管理に疲れ果てた物件に多いです。

 販売価格の安さと想定賃料、利回りばかりに目が行きやすいですが、閉店しているテナントの後始末は、決して容易ではありません。それに閉店しているテナントの退去後に新しいテナント、特に飲食店を入居させることは至難の業です。

 販売価格が極めて安く、想定賃料がかなり高額で利回りが良好であるように思えても、不動産業に携わらない一般の投資家の方は、このような物件に手を出すべきではないと言えます。