飲食店等で新型コロナウイルス感染者が出た場合の対応

報道によりご存じの方が大半であると思いますが、東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県の1都4県に対し、緊急事態宣言が再び発令されました。

1月8日から2月7日迄とされていますが、状況により延長することがあるとのことです。

飲食店の営業は午後8時まで、酒類を提供する飲食店でお酒を提供できるのは午前11時以降午後7時までと定められました。東京都の場合、協力した飲食店に対しては一店舗につき一日6万円の協力金が支給されるとのことです。

東京都の場合、支給される要件として営業時間短縮を1月8日から2月7日迄実施した場合、または1月12日から2月7日迄実施した場合のいずれかに限られます。1月13日以降から営業時間の短縮を行った場合には支給されないので、飲食店を経営されている方はご注意ください。

また、神奈川県、千葉県、埼玉県でも協力金の支給が行われる予定とのことです。実施要領は各県のホームページを参照願います。

今日の本題です
飲食店等の従業員、またはその利用者(お客様)が新型コロナウイルスに感染し、陽性が確認された場合、どのような対応をすれば良いかという問題です。

特に、複数の飲食テナントが入居している商業施設内において、従業員またはお客様が新型コロナウイルスに感染した際に、どのような対応をするべきかという質問が管理会社に多く寄せられているとのことです。

基本的には、アパートおよびマンションの一室で住人が感染した場合と類似した対応になります。
この場合の詳細は、以前の投稿を参照願います。

飲食店等の場合、利用者(お客様)が存在すること、およびクラスターが発生する恐れがあることを考えておく必要があります。概ね以下のプロセスに従うことになると思われます。

1.医療機関が発生届を保健所に提出し、聴き取り調査が行われる
保健所が、陽性が確認された方に発症日前後の行動などに関する聴き取り調査を行います。
症状が重く、本人が意識不明などの場合は同僚や家族などから聴き取ることがあります。

聴き取りの結果、本人が飲食店等を利用したことが確認された、または本人が飲食店等の従業員である場合はクラスター発生の懸念があることから、保健所は当該飲食店等にも聴き取り調査を行います。

陽性が確認された方の同伴者、および同じ時間帯に当該飲食店等を利用した方、従業員は濃厚接触者に該当する場合があります。この時点で、濃厚接触者を特定する必要があります。

濃厚接触者であると認められる従業員がいる場合は、休業(自宅待機)させることになります。その後に発症した場合は医師の判断により、原則として入院、またはホテル療養になります。

予約客がある場合は、この時点で営業停止による予約キャンセル、または予約延期の連絡をすることになります。

2.保健所による疫学調査、健康状態観察の指示
従業員および濃厚接触者における健康状態を観察するように指示されます。

高熱、強い倦怠感がある、臭いがわからない、味覚がおかしい等、感染の可能性がある症状の方がいる場合には、保健所に連絡するように指示されます。

また、この時点で発症していなくても数日後以降に発症することがありますので、健康観察は欠かせません。

陽性が確認された方の同伴者、および同じ時間帯に当該飲食店等を利用した方で、連絡先がわかる方には感染者発生の旨を連絡し、健康観察をお願いします。

3.飲食店等の消毒を行うかの判断と消毒命令
保健所の所長が消毒の必要性を判断します。消毒が必要と判断された場合は保健所の所長名で消毒命令が発令されます。

その後、保健所の職員が消毒の方法、消毒が必要な場所と消毒の範囲について指示します。
共用部や隣接店舗に対する消毒を行うかは、保健所が判断します。

4.消毒
管理会社または建物所有者(オーナー)等から委託された消毒業者が消毒を行います。
消毒の際に、保健所の職員が方法および範囲を指示します。

賃貸借契約により入居している店舗の場合、消毒の費用は原則として建物所有者(オーナー)の負担になります。ただし、賃貸借契約に特約を定めている場合は、その特約に従います。

公費負担の制度はありません。

5.アフターフォロー
東京の場合、感染者が発生したために消毒をした旨、および休業する旨を記載した張り紙を店舗の入り口に貼り出すのが一般的です。併せてホームページで消毒した旨、および休業等について告知します。

飲食店等の場合、消毒作業はどうしても目に付きます。対外的に、何も問題が発生していないことにするのは極めて困難です。

多店舗展開をしている会社で、他店から従業員を臨時に投入できる体制である場合を除き、2週間休業することは避けられません。

休業期間が明けた後、ホームページ等で再開した旨を告知します。