コロナ禍の中で、収益用不動産の購入を検討されている方へ(その2)

※昨日投稿した内容の続きです。

表面利回りではなく、実質利回りに注意
 収益用不動産の販売広告に記載されている利回りは表面利回りです。表面利回りとは年間の賃料収入を物件購入費で割り、パーセント表記した値です。

 収益用不動産を運用する際には固定資産税、都市計画税、損害保険料がかかります。また、設備の更新や建物の維持費、および管理費がかかります。例えばオートロックやエレベーターを備えている物件では保守費用が発生し、20~30年毎に設備交換工事または大規模修繕工事を行う必要があります。

 管理費は、管理会社に管理を委託する際に支払う必要があります。管理をどこまで委託するかにより管理費の金額は異なりますが、家賃の出納および共有部の定期的清掃、見回りを依頼する場合は賃料収入の3~5%程度を支払う必要があります。

 さらに、15~20年毎に大規模修繕を行う必要があるので、その費用(通常は毎年積み立てておく)をカウントしておく必要があります。

 事業用ローンを利用して購入する場合は、支払利息についても算出しておく必要があります。

 税金および保険料を除き、概算でしか算出できないかもしれませんが、毎年の支出がどれだけになるかを想定しておく必要があります。

 中古物件であれば、売主が所有している期間における支出額が参考になります。購入を検討する際には、売主に対し支出額を尋ねておく必要があります。

 昨日の投稿では、実質利回り6%以上の物件を探すべきである旨を記載しました。多くの物件において、表面利回りが8~10%程度ないと、実質利回り6%の達成は困難です。

実質利回りが低い物件は敬遠するべき
 実質利回りが低いと、何らかの異変が発生した際に対応出来なくなります。なるべく利回りの高い物件を購入し、家賃収入を蓄えておくことが必要です。

 異変の例としてあげられるのが、現在のコロナ禍です。コロナ禍による企業の廃業および倒産が災いし、都心の単身者用ワンルーム、1Kの部屋は空室が目立っています。さらに、家賃を滞納する入居者が増加しています。家賃滞納者が増加すると維持費(税金、管理費等)を支払えない事態に陥り、事業用ローンを利用して物件を購入している場合には毎月の返済が滞る事態になりかねません。

 また、入居者の中に新型コロナウイルスに感染した方が現れた場合、消毒をしなければなりません。その消毒費用は物件の所有者の負担になります。

実質利回りが高い都心の物件は稀少
 現在、収益用不動産に対する人気が集中していることから売主様が強気であり、表面利回り3~4%程度にしかならない物件が数多く売り出されています。

 「都心には表面利回り8~10%程度、実質利回り6%の物件は存在しないではないか。」と言われる方が多いのですが、これは都心における収益用不動産の値上がり状況が異常であることを表しています。

 都心の現状として表面利回り3~4%の物件が多いですが、これらの物件における実質利回りは2%未満でしょう。これでは不測の事態が発生した際に対処できないどころか、運用成績が赤字になる恐れが大です。

 収益用不動産の運用ではなくても、利回りの良い資産運用方法は他にも多くあります。利回りが低い物件を無理して購入した結果、破産に追い込まれたオーナー様は数多くいらっしゃいます。利回りが低い収益用不動産を無理して購入する必要はないと考えます。