東京都目黒区内の賃貸物件における家賃および土地が高額である理由

 筆者の会社は東京都目黒区にあります。最寄り駅は東急目黒線の西小山駅または洗足駅になります。現在は東急目黒線の南側は神奈川県横浜市の日吉まで延伸していますが、2022年度下半期には新線を経由して相模鉄道の湘南台および海老名から直通する電車が走るようになる予定です。

 現在、川崎市または横浜市に居住しており、目黒線を利用して都心に通勤されている方から「目黒線の沿線に引っ越したいので、家賃が手頃な物件を紹介して欲しい。」という依頼がたまにあります。

 東急目黒線は、主に目黒区を通過します。このため、紹介の対象となる物件は目黒区内の物件になるのですが、家賃が高額であることから諦める方が多いです。

 川崎市の元住吉近辺、横浜市の綱島周辺にある家賃6万円程度の1Kのお部屋と同じグレードのお部屋を目黒区で探そうとすると、家賃は8~10万円になります。年間では家賃が30~40万円以上も増えるので、諦める方が多いのは当然です。

 目黒区内に賃貸アパート、マンションを所有しているオーナー様において共通する悩みは、空室が生じると次の入居者がなかなか決まらないこと、および家賃の滞納率が高いことです。

 個別のオーナー様における状況が統計で集計されることはありません。このため、あくまでも筆者の感覚になりますが、平均的には総戸数の2割程度が空室であり、1~2室が滞納しているアパートおよびマンションが多い状況です。

 意外かもしれませんが、目黒区は家賃が高額なので賃貸需要は少ないです。目黒区の賃貸物件における家賃は、山手線の外側にある区(内外にまたがる区は内側の区であると見做します)の中では最も高額です。

家賃が高額である理由
 理由は土地に係る固定資産税および都市計画税が高額であること、建物の高さ制限が厳しいために建物の高層化を行えないことにあります。

 目黒区における地価は、城南エリアと言われる4区(目黒区、世田谷区、品川区、大田区)の中では最も高額です。このため、固定資産税および都市計画税も高額になります。

 建物の絶対高さ制限は、一部のエリアを除き17mとされています(第一種・第二種低層住居専用地域は10m)。目黒区内のほとんどのエリアにおいて、6階建以上の高層建物の建築は認められていません。

 土地の固定資産税および都市計画税が高額であり、かつ建物の高層化を行えない以上、オーナー様としては家賃に反映させるしかありません。オーナー様としては家賃を下げると固定資産税および都市計画税を支払えなくなるので、家賃を大きく下げることは極めて困難です。

土地が高額である理由
 山手線内側、および近郊都市へのアクセスが良好であることが理由の一つとして挙げられます。

 前述したとおり、東急目黒線は相模鉄道の乗り入れが計画されていますし、都営地下鉄三田線、東京地下鉄南北線、埼玉高速鉄道と相互乗り入れを行っています。浦和美園、西高島平までが一つの路線で繋がっています。

 また、東急東横線は東京地下鉄副都心線、西武鉄道、東武鉄道、横浜高速鉄道と相互乗り入れを行っており、電車の運行本数は極めて多いです。元町・中華街、横浜、武蔵小杉、自由が丘、中目黒、渋谷、新宿三丁目、池袋、川越、練馬、所沢、飯能、小川町が一つの路線で繋がっています。東横線も、相模鉄道の乗り入れが計画されています。

 二つ目の理由は標高です。東京都の東側にはいわゆる「ゼロメートル地帯」がありますが、目黒区の標高は大半のエリアで20m以上です。大雨の際に床上・床下浸水の被害に遭いにくく、大地震による津波が襲来しても安全性が高いと言えます。

 三つ目の理由は、建築に関する条例が厳しいことです。前述した高さ制限だけではなく、建物を建築するのに必要な最低面積(多くのエリアで60平米以上)が定められており、狭小の住宅の建築が抑制されています。