2021年は不動産の売物件が異様に少ない年でした

 間もなく2021年が終わります。この1年は、昨年と同様に新型コロナウイルスに振り回されました。その結果、2021年における不動産の売物件は激減しました。

 なお、本日の投稿は東京都区内において該当する内容であり、他のエリアでは多少異なる状況である場合があります。この点について、あらかじめ御了承願います。

 今年は売物件がとても少なく、不動産の購入を希望される多くのお客様に御迷惑をかけた一年になりました。あくまでも個人的な感覚ですが、旧耐震の区分マンションを除き、過去10年間において、これほどまでに売物件の数が少ない年は見当たりません。

 以下、物件の種類毎に、売物件が少なかった原因を分析します。

新築戸建住宅、新築区分マンション
 コロナ禍が終息しないことによる木材および建築部材、住宅部材の値上がり、および供給不足が主な原因です。

 ウッドショックにより木材価格が高騰し、コロナ禍により東南アジア諸国における住宅部材の生産工場が閉鎖したことから、物件を新たに建築しても、販売価格はコロナ禍になる前より2~3割以上も高く設定することが必要な状況になりました。

 これでは購入希望者が納得しません。このため、ディベロッパーが新たな物件の建築を大きく抑制しました。新規に売り出される土地が極めて少ないことも関係しています。

土地、中古戸建住宅
 買い替え需要の激減が原因です。現在居住している住宅を売却し、より良い住環境のエリアに移転する場合、大半の方は現在の住宅を売却して得られる金額に、自己資金をある程度加算して購入することをお考えになります。

 ところが、コロナ禍が終息しないことから自己資金を貯めることが難しくなった、または費消された方が多くいらっしゃいます。

 特に飲食業界では多くの方が解雇され、または賃金を大きく減額されました。これでは自己資金を満足に貯めることはできません。

 会社の経営者においては、自宅の買い替えを目的として貯めていた自己資金を自身が経営する会社の運営資金に流用してしまい、自宅の買い替えができなくなった方が数多くいらっしゃいます。

 買い替え需要が少ないと、新規に販売される土地、および中古戸建住宅は少なくなります。このため、購入を希望されるお客様がいらっしゃるものの、売り物がほとんどないという、異常な状況に陥りました。

中古区分マンション
 新耐震、旧耐震のいずれかにより状況が異なります。新耐震の区分マンションは、中古戸建住宅の場合と同様に買い替え需要が減少し、売物件が極端に少ない状況です。

 新築物件の売り出し件数が少ないこともあり、売主様が強気になられ、販売価格は大きく上昇しました。特に交通が至便な新耐震の区分マンションは、コロナ禍になる前より2~4割高い販売価格を設定しても成約する物件が多い状況でした。

 しかし、旧耐震の区分マンションは状況が異なります。旧耐震のマンションでは、大地震が発生した場合には生命の安全を保証できません。このため、居住し続けるよりも売却を選択し、売却された方が多くいらっしゃいます。

 旧耐震のマンションについては耐震化工事およびフルリフォームを行った物件の売れ行きが良好でした。

収益用不動産(1棟ものの賃貸アパート、賃貸マンション)
 「老後は2000万円が必要」というフレーズのためか、収益用不動産全般に対し、需要が急増しました。このため、売主様は強気になり、売却価格を大きく上げました。その結果、都心ではコロナ禍になる前に基準とされていた実質利回り6.5%(表面利回り8~9%)以上の物件は極めて少なくなり、表面利回り3~4%の物件が急増しました。実質利回りは2%前後になります。

 収益用不動産を買い替えると利回りが極端に少なくなる状況になりました。実質利回りが6.5%の物件を売却し、実質利回り2%の物件を購入するのでは収入が減少します。この家賃収入では事業用ローンの金利を負担することすら難しいと言えます。

 このため、1棟ものの賃貸アパート、賃貸マンションの買い替えを検討するオーナー様はほとんどいなくなりました。特にレジデンスの売物件は、数が極めて少ない状況が続いています。

 なお、ソシアルビルおよび、1階に飲食店テナントが入居している物件は「コロナ禍が今後も継続した場合には家賃の滞納が発生する恐れがある。」とお考えになり、売り急ぐオーナー様が多いためか、比較的安く売られている物件があります。

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