買ってはいけない収益物件(その4、エレベーターがリニューアル時期)

 エレベーター付きのマンションは、上層階に空室が生じても空室期間が短くて済むという利点があります。しかし、エレーベーターは機械設備であり寿命があります。通常、建築後20~30年程度が経過した時点で大半の機器を撤去し、新しいものに交換する必要があります。

 入居者の身体の安全に関わる機器であることから、リニューアルを推奨されているにもかかわらず何もせずに放置することは許されません。

 工法によりますが、エレベーターの更新費用は1,000万円を超えることがあり、かなり高額です。また、工法および建物の高さにより変わりますが、1~2か月の工期を要します。

 工事期間はエレベーターを利用できません。このため、足腰が不自由なことにより階段の昇降が困難な入居者には一時的にウィークリーまたはマンスリーマンションに引っ越してもらうことが必要になります。

 階段の昇降に支障がない入居者でも、家賃の減額を要求することがあります。この場合、ある程度の減額には応じなければならないと思われます。

 さらに、エレベーターの関連機器を全て撤去した上で更新工事を行う際は、建築確認申請及び検査が必要です。複数の施工業者に見積もりを依頼し、工事を依頼する施工業者を決定した上で必要書類を作成して申請します。なお全ての機器を撤去しない場合でも建築確認申請が必要になることがありますので、特定行政庁への確認が必要です。

 エレベーターを更新する際に必要になるのは機器の交換だけではありません。前述したとおり、工事期間中は、階段の昇降が困難な入居者にはウィークリーまたはマンスリーマンションに引っ越してもらう必要があります。もちろんウィークリーまたはマンスリーマンションの賃借費用、および引っ越し代はオーナーの負担になります。さらに、賃借人から家賃の減額要求が発生しますので、対応が必要になります。

まとめ
 収益物件を購入した直後にエレベーターの更新が必要になり、多額の費用を支出しなければならない上に工事に際し必要となる事項への対応に翻弄されるのでは困ります。築25~35年程度が経過している賃貸マンションを購入する際には、エレベーターの更新が完了している物件を選ぶことをお勧めします。

 立地が良好である等、他の利点があるためにエレベーターの更新が未了である物件をあえて購入する場合は、更新費用および関連費用の総額を見積もり、販売価格からの値引きを要求して構わないと思います。