中古戸建住宅(主に建物)の査定について

昨日は区分マンションの査定方法について書きましたが、今日は中古住宅(主に建物)の査定方法について書きます。

木造戸建住宅の場合、法定耐用年数は22年とされています。軽量鉄骨プレハブ造りの住宅では鉄骨の肉厚3mm以下の場合は19年、3mmを超え4mm以下の場合は27年とされています。また鉄筋コンクリート造りの場合は47年と定められています。

法定耐用年数を過ぎた戸建住宅でも、メンテナンスをしっかり行っていれば、さらに長期の利用が可能になることが多いです。柱や梁に檜材を使用した建物の場合は、維持管理を怠らなければ60年以上利用できるものもあります。

しかし、不動産の売却価格を決める「査定」の際には、法定耐用年数を重視します。木造戸建住宅で建築後22年以上を経過した建物の査定価格は、高額な材料を使用し、メンテナンスが行き届いている場合でも一律にゼロ円とされます。

ただし、いわゆる豪邸や著名人が居住していた邸宅、別荘など、例外になる住宅があります。

バス、トイレ設備などの室内設備の更新を行った直後の場合は、発生した費用を上乗せできることがありますが、最大でも更新に要した実費相当額になります。

問題なのは、居住し始めてから数年~15年程度の戸建住宅を売却する際の査定です。これについては、公益社団法人である不動産流通推進センターが作成している「価格査定マニュアル」を利用する方法が推奨されています。また、昨日の投稿に記載した不動産取引データシステムを利用する方法があります。

価格査定マニュアルによる、建物価格の査定
「価格査定マニュアル」と言っても、「本」として販売されているわけではありません。専用のWEBサイトがから諸事項を入力し、価格を求めます。なお、利用料金が発生します。

まず、建物の標準建築費を求めます。材料、建物の構造、大きさに関するデータに基づき、算出します。

次に、建物の規模、耐震性、管理状況、使用している部材の種類とグレード、維持管理の状況、リフォームを実施した場合はその内容、省エネ設備などの付加価値の有無、外観などの情報を加点または減点します。これらにより建物価格を求めます。

これに敷地である土地の価格を合算したものが戸建住宅の査定価格になりますが、所在地の特性(都市部か近郊か等、流通性比率)を加味し、全体の査定価格を求めます。

土地(敷地)の査定
昨日の投稿に記載した通り、実務では路線価図より計算する方法がよく行われていますが、最近では主に都市部の土地については、この方法により計算される査定価格とはかなり異なる金額で取引されることが増えています。

「価格査定マニュアル」では、近隣の土地における売却事例と比較して算出することが推奨されていますが、都心でも土地の売却事例はそれ程多くありません。それに土地の特性(地形、前面道路の種類、接道の状況、用途地域)は千差万別であることから、売却事例との比較だけでは査定できないことがとても多いです。

このブログでは、「その土地の所在地において売買専門で営業している不動産会社にお尋ねください」とさせていただきます。路線価図より計算する方法だけでは査定できない状況であり、近いうちに査定方法が変わる可能性があるからです。