不動産を競売で購入する際は要注意(戸建住宅 その6)

不動産を競売で購入する際に確認するべき点は他にも多くあります。書き続けると、この話題だけで1~2冊の本を書ける分量になるので、不動産の競売購入に関する投稿は、本日で一旦終わりにします。

戸建住宅を購入する行為は建物のみを購入するのでは無く、建物が建てられている土地も購入するということです。このため、土地に関する注意点は全て調査しておく必要があります。

建物は火事で全焼する、あるいは台風や竜巻、地震等で全壊することがあります。災害などに遭遇して建物がなくなった際に建物を再建築できない土地は、建物がなくなった時点で無価値に近くなります。購入手段が競売であっても、このような土地を購入することはお勧めできません。昨日投稿した「競売で土地を購入する際の注意点」についても合わせてご覧ください。

また、土地の権利が借地権である場合は、これも注意が必要です。借地権の土地を競売で購入する際には注意事項があります。詳しくは以前の投稿を参照願います。

築浅の建物でも朽廃が酷いことがある
競売で売られる戸建住宅の問題点は、朽廃が酷い建物が多いことです。築浅の建物でも例外ではありません。

木造の建物の場合、維持管理を適切に行っていないと家屋の強度が著しく衰えます。台風や強風で瓦が外れた場合に、放置すると雨漏りが発生します。この雨漏りを放置すると、梁や柱を傷めることになります。腐食が生じ、強度が大きく劣化します。

また、シロアリが発生しているのに駆除を怠ると、食害により梁や柱が傷みます。建物の強度は著しく劣化し、倒壊する原因になります。

競売にかけられている物件では、所有者が金銭に窮していることから維持管理の費用を賄えず、このような状況で放置されていることがよくあります。

メンテナンスを怠った建物では、築10年以下の物件でも取り壊して再建築するしかないものがあります。築浅の物件が競売にかけられる際には、売却基準価額を高額に設定していることがあります。しかし、数百万円以上の修繕費を要する物件があります。

債務者・所有者が嘘の陳述をすることがある
一円でも高い価額で入札してもらうため、債務者・所有者が裁判所の執行官に嘘の陳述をすることがあります。雨漏りがあるのに「雨漏りはありません」とか、室内でペットを飼育しているのに「ペットはいません」等の陳述をします。このような陳述があると、裁判所が発行して公開する現況調査報告書にその陳述内容が記載されます。

以前、私の会社で「雨漏りはありません」との陳述があった、2階建ての木造戸建住宅を落札したことがあります。2階の天井には雨染みがないのですが、1階の天井に雨染みがあります。

1階の壁板を剥がしたところ、内部がかなり腐食していました。原因は、1階と2階との間にあるわずかな隙間から雨水が侵入したことでした。修繕費に250万円以上を要しました。

ペット飼育に関する陳述に注意
債務者・所有者による「屋内ではペットの飼育をしていません」との陳述が現況調査報告書に記載されていても、注意を怠ってはいけません。裁判所の執行官が確認した時点では飼育していなくても、少し前迄は飼育していたかもしれません。また、屋外で飼育していることがあります。

私の会社でも、このような物件に遭遇したことがあります。屋内の動物臭はないのですが、屋外ではかなりキツイ動物臭がしました。お隣の住人に尋ねたところ、大型犬(ドーベルマン)を番犬として3頭、屋外で飼育していたとのことです。大型犬をつなぎ止めるための鉄鎖が屋外に何本も放置されていました。

予め修繕費を用意しておくことが必要
戸建住宅を競売で購入する際には、予め修繕費を用意しておくことをお勧めします。経験で申し上げますが、2階建ての木造戸建住宅の場合には300万円程度を見込んでおくことが必要であると思います。

損傷が酷く、修繕費が高額になる場合は、取り壊して更地として売却した方が安上がりになることがあります。