戸建住宅のオーナー様は維持費の積立てが必須です

 分譲マンションで暮らしている方の中には戸建住宅への買い替えを検討している方がいらっしゃいます。理由の多くは「管理組合に縛られたくない」、「他の居住者に気を遣いたくない」、「管理費および修繕積立金を支払いたくない」というものです。中でも管理費および修繕積立金を毎月徴収されることに不満を抱いている方が多いです。

 戸建住宅に買い替え、管理費及び修繕積立金の支払が不要になった方の中に、約10年後に大慌てする方がいます。室内設備だけではなく、建物の外壁や屋根、雨樋などに年相応の傷みが発生し、多額の費用が発生するからです。

 家庭用電気器具の寿命は概ね10年とされています。このため、エアコン、給湯器、洗濯機、システムキッチン等がほぼ同時に寿命を迎えることがあります。状況により、数十万円以上の更新費用を一度に支払わなければならないことがあります。このことは分譲マンション、戸建住宅のいずれでも同じです。

 問題は、戸建住宅では屋根や外壁、雨樋を維持する費用が発生することです。通常は10~15年に1回程度、大規模な修繕を行う必要があります。強風が吹きやすいエリア、又は積雪地帯では修繕を5~10年に1回程度行う必要があります。

 外壁が傷むと雨水が侵入することがあります。モルタル等の外壁に生じたひび等から雨水が浸入すると建物の柱や梁を濡らし、傷めることがあります。長期間放置すると柱や梁が腐食します。

 さらに建物が歪み、窓や扉の開閉に支障を生じます。更に長期間放置すると建物の強度が大きく劣化し、最終的には崩落します。

 雨樋が詰まると雨水が樋から漏れ、外壁にかかることがあります。外壁にひびがあると、そこから雨水が侵入します。

 RC造またはSRC造の建物の場合は定期的に屋根の防水塗装を行うか、防水シートの貼り替えを行う必要があります。屋根を定期的に点検し、必要に応じ補修する必要があります。 

 瓦屋根の場合、瓦にひびが入ったり瓦がずれると雨漏りが発生します。長年の間に屋根瓦が少しずつ動き、雨漏りが発生することがあります。

 分譲マンションでは維持費を修繕積立金で賄います。しかし、戸建住宅の場合はオーナーが支出するしかありません。かなりの金額を一度に支出しなければならないことが多いので、維持費をあらかじめ積み立てておく必要があります。

 台風の通過等の自然災害による損傷には損害保険により修繕費が支払われます。しかし、経年劣化に対する損害保険の適用はありません。

 したがって、戸建住宅のオーナーになった場合は維持費を常に積み立てておくことを強くお勧めします。