不動産を競売で購入する際は要注意(土地 その5)

土地を競売で購入する際の注意点-契約不適合責任が免責される
競売物件の中には建物を建てられない土地がありますので注意が必要です。法的、または物理的に建てられない土地でも競売が実施されます。通常の不動産売買により売却した場合には明らかに契約不適合責任があるとみなされる土地でも同様です。

不動産業者が仲介する土地では調査が行われます。法的または物理的に建物が建てられない場合や契約不適合責任が生じる恐れがある場合に、これらを告知されずに売られることは少ないと思います。しかし、競売ではそのような土地でも売却されます。

建築基準法に注意(都市計画区域の場合)
都市計画区域にある土地では、接道要件を満たしていないと建物の建築が認められません。道路に接していない土地、道路から敷地までの通路の幅員が2m未満の土地(地域の条例により更に厳しい場合があります)では建築禁止です。詳細は以前の投稿に記載していますので参照願います。

「水路」に注意
公図(地図に準ずる図面)の確認は必須です。現況は道路に接するように見えても、公図には土地と敷地との間に「水路」が記載されていることがあります。例えば幅が30cm未満の側溝でも公図に「水路」との記載があれば、それは「川」であり、原則として土地と道路とを川が隔てていると見做されます。このような場合、原則として建築不可の土地と見做されることになります。

側溝が見当たらないくても、暗渠化された水路が存在することがあります。側溝が存在しなくても、公図に「水路」が記載されている場合は土地と道路の間に「川」が存在するものと扱われます。この場合も道路に接しない土地と扱われ、原則として建築不可の土地とみなされます。

これらの土地に建物を建てたい場合は特定行政庁の建築審査会に審査してもらう必要があります。審査を依頼した結果、建築許可が得られることが多いですが、必ず建築が許可される保証はありません。

軟弱地盤
接道要件を満たしても、地盤が軟弱で杭打ちが必要な土地があります。このような土地では、以前に建築されていた建物の杭が残っていないか、残っている場合にはその数が多くないかを調べる必要があります。杭が残っていると、新しい建物を建築する際に支障をきたすことがあります。

軟弱地盤は川や水路の近くに多く見られます。公図を参照し、以前に水路であった、またはこれに近接している土地は軟弱地盤であることが多いです。

産業廃棄物、土壌汚染
以前に建っていた建物の残骸や産業廃棄物が地下に埋められていることがあります。また、土壌が汚染されていることがあります。以前に何が建っていたかについて、近所の住人にそれとなく尋ねても良いと思います。

擁壁が必要な土地か
隣地との高低差が一定以上ある土地では、条例により擁壁を設けなければ建物を建てられないことがあります。高低差が大きい場合、擁壁を新たに造成する費用が土地の購入代金を大きく上回ることがあります。

事故物件
以前に建物が建っていた土地である場合には、その建物が取り壊された後に更地の状態で放置されている理由を可能な限り調べることをお勧めします。よくあるのは、以前に建っていた建物の内部で自殺や殺人事件が発生した、または建物が全焼して死者が出たという理由です。

事故物件である建物を取り壊した後の土地は事故物件と言えるかについては様々な見解があります。付近の住民において広く知られているかで事故物件と見做すか否かを決定するべきとする見解がありますが、統一された見解はまだありません。そのような土地が事故物件であると一律に断定することはできないので、現況調査報告書には記載しないことがあります。なお、不動産会社が行う仲介では、告知事項とする不動産会社が大半であると思います。

土砂災害警戒区域
地勢が平坦な土地であっても、土砂災害警戒区域の場合は要注意です。大雨の際に、地勢の関係から鉄砲水が集中して押し寄せる土地であれば、そこに建物を建築することは危険かもしれません。

まとめ
他にも注意するべき点は多くあります。心配がある場合は、安易に入札するべきではありません。特に裁判所が公開する現況調査報告書には土地の現況のみを記載し、「建築禁止」または「事故物件」であることについて直接記載していないことが多いので注意が必要です。