賃貸アパートで飼育されていたアミメニシキヘビが脱走した事件について

2021年5月19日

昨日は、「特殊な賃貸物件」について書きました。今後、特に都心部では何らかの特徴を持たせることが空室対策に有効になると思われます。

ドーベルマンを飼育できる賃貸物件、完全にバリアフリーのマンション、自分の住宅兼事務所として利用できる賃貸マンション、大量の洗濯物を干せる広いバルコニーがある賃貸マンション、広い浴室を備えたマンション等に対する問合せは、それなりに多くあります。

しかし、賃貸アパートおよび賃貸マンションの場合には、許可するオーナーがいない内容があります。特殊詐欺、大麻などの違法植物の栽培に利用することは誰も許可しません。また、猛獣や大型爬虫類を飼育することを許可するオーナーはいないでしょう。

5月6日に、神奈川県横浜市戸塚区の賃貸アパートから大型の蛇(アミメニシキヘビ)が脱走したとのことです。体長は約3.5メートルあり、人に危害を加える恐れがあるようです。

逃走してから100人態勢で大規模な捜索を行っても発見できないとのことです。5月16日に報道された内容から引用します。
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ニシキヘビ飼い主、部屋退去し室内あらためて捜索も見つからず

 横浜市戸塚区のアパートから逃げ出した体長約3・5メートル、体重約13キロのアミメニシキヘビ捜索は15日、警察、消防、横浜市動物愛護センター職員など100人を超える過去最多人員を配置した。

~中略~

 また、飼い主の20代男性の自宅内も、あらためて捜索した。万が一、逃げていなかった可能性も考慮してのこと。飼い主は、ペット不可の物件だったこともあり、貸主と協議して退去を決断し、この日の夜遅くに引っ越し作業を終えた。前日14日に飼っていた他のヘビやワニなど計5匹を譲渡。整理された状態で洗濯機や、ベッドなども入念に調べ、室内にいる可能性は消えた。今後も捜索は同地に来て続ける意向だ。

 10日目を迎えても目撃情報すらない状況に、近所の住人も「家族もみんな不安が大きくなっています」。一方で「こんなに大人数で何日間も捜したのに見つからないなんて考えられない。本当はヘビがもともといなかった、なんてことはないですよね?」と虚偽を疑ってしまうほど難航している。今日16日以降も、警察などの捜索活動は続くが、ヘビ騒動は謎に包まれてきた。

日刊スポーツ

賃貸借契約を解約されるだけでは済まない
大型のヘビ3匹、ワニ1匹、亀1匹を他に飼育していたとのことで、これらは業者に引き取られたとのことです。

大蛇が脱走した賃貸アパートでは、ペットの飼育が禁止されていたとのことです。借主はオーナーおよび管理会社から契約違反であることを指摘され、賃貸借契約の解約を申し渡されたのだと思います。

同じ建物内の他の住人だけではなく、近隣の方にも大迷惑をかけたことからオーナーが賃貸借契約の解約を申し入れたとしても、この解約は正当なものであると考えられます。借地借家法が定める「当事者(貸主および借主)における相互の信頼関係」を破壊した行為が行われたと認められるからです。

そればかりか、飼い主は多額の損害賠償を請求されることが考えられます。内容は捜索費用、他の住人が退去した場合の引越費用、空室期間が発生したこと、その他に対する損害賠償になります。

大型爬虫類や猛獣を飼育したい場合
大型爬虫類や猛獣を飼育したい場合は戸建住宅を購入し、脱走しないための対策を十分に施した上で飼育するしかないと思います。脱走防止対策を行うためには庭に柵や高い塀などの設置が必要です。

もちろん、飼育が法律や地域の条例に違反しないことが前提です。

万が一、脱走した際には近隣の方に危害が加えられる恐れがあることから、都心の狭い住宅では対応出来ません。郊外の広い戸建住宅を購入し、庭に柵、塀などを設置するしかないと思われます。

賃貸住宅では脱走防止対策を十分に行えないことが多く、対応できないことがほとんどです。

脱走した大蛇(アミメニシキヘビ)はどこに行ったのか
飼い主の引越後に部屋の中を改めて確認しても見つからなかったとのことです。

以前、私が売買取引に関わった戸建住宅において、ルーフバルコニーの下にある外壁に幅2~3cm、長さ約40cmの縦長の亀裂が入っていました。近隣の方によると、この隙間からスズメバチが出入りするとのことでした。秋が過ぎ、寒くなってから亀裂の周囲を壊してみたところ、内部から直径40cmを超えるスズメバチの大きな巣が見つかりました。

このような経験があることから、建物の外壁、または共用部の天井等の隙間から入り込み、建物の内部に潜んでいることは考えられないのかと思っていたところ、以下の記事が掲載されていました。日刊スポーツの掲載記事から引用します。
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アミメニシキヘビ「アパートの内部構造を捜索すべき」専門家が指摘
[2021年5月16日19時25分]

 横浜市戸塚区で姿をくらましたアミメニシキヘビ(全長約3・5メートル、重量約13キロ)の捜索で、横浜市戸塚消防署と地元消防団は16日、3日間で延べ300人態勢での捜索を終えたが、発見には至らなかった。

~中略~

 では、どこに潜んでいるのか。日本爬虫(はちゅう)類両生類協会の白輪剛史理事長は「灯台もと暗し」なのではないかと推測した。ヘビの行方が分からなくなった6日以降、日々の平均気温は17・2~22・5度とアミメニシキヘビの適温とされる28度以上からはほど遠い。「移動しただろうと、屋外に目を向けているが、飼い主の住んでいたアパートの階段踊り場天井の天板がはがれていた。ヘビの重みで壊れたかも。アパートの内部構造を捜索すべきだと思う」と白輪氏は大胆な推理を展開した。

日刊スポーツ

決して「大胆な推理」ではないと思います。床下や天井、壁の内部等に潜んでいる可能性があります。小動物の捕食を月1~2回程度行えれば生きられるとのことなので、生きたまま隠れているかもしれません。

内部構造の空間に人間が直接立ち入ることは危険なので、光ファイバー等を利用した探索になると思いますが、行う価値は十分にあると考えられます。