郊外の戸建住宅を賃貸住宅にして運用したい場合

昨日は、郊外の戸建住宅を賃貸住宅にすることに付いての注意点を書きました。それでもなお、郊外の戸建住宅を購入して運用したいという方は多いと思います。

本日は、標題記載の場合にはどのような物件を購入し、運用するのが良いかについて書きます。

1.立地に注意
昨日の投稿で述べたとおり、安くても買ってはいけない土地があります。土砂災害特別警戒区域、土砂災害警戒区域、急傾斜地崩壊危険箇所、土石流危険渓流、地すべり危険箇所に立地する戸建住宅は購入しないのが賢明です。

その他にも市街化調整区域、接道要件を満たしていない土地(都市計画区域内にある、建築基準法が規定する「道路」に間口2m以上接していない土地)、道路から他人の土地を通らなければ敷地に入れない土地に立地している戸建住宅は、できれば購入しないのが無難です。再建築が認められないからです。

これらの戸建住宅は、再建築が認められないことから極めて安く売られていることがよくあります。当然ですが、利回りは高いです。再建築不可であっても、リフォームを続ければ老朽化しても取り壊さなくて済むとの考えがありますが、万が一火災で全焼した場合には再建築できないことから物件の価値は無価値同然になります。よって、お勧めできません。

インターネット回線の状況を確認する必要があります。日本の9割以上の地域で光回線が利用可能ですが、残念ながら、まだ利用できない地域があります。光回線を利用できないと、リモートワークをしたい方を賃借人として取り込むことはかなり困難です。

2.内見を必ず行ない、修繕必要箇所を特定し、費用を見積もる
昨日の投稿に記載したとおり、内見は必ず必要です。賃貸中であることから内見が出来ない物件には手を出さないのが賢明です。

木造戸建住宅の場合、RC造の賃貸マンションとは異なり、修繕に必要な箇所が多く見つかることが大半です。経年劣化により玄関ドア、ガラス窓、バルコニーに面した扉、室内ドアの立て付けが悪くなり、開閉しにくいことがあります。また、小規模な雨漏りが生じている物件は多いです。

洗面台や室内洗濯機置き場の排水管から漏水し、床板が腐食していることがあります。腐食が酷い場合にはシロアリが発生していることがありますので、十分に確認します。

経年劣化が進行すると、洋室や廊下の床板にたわみが生じ、ぶかぶかになっていることがあります。このような場合は床板を交換するか、従来から使用している床板の上に厚めの板を貼ることが必要です。

瓦屋根の場合は、ひびが入っている、または落下しそうな瓦がないかを確認します。台風などの強風による飛来物が屋根に衝突したことが原因で瓦が損傷していることがあります。瓦の損傷は、雨漏りに直結します。

雨樋が壊れていることがあります。雨水の排出に問題があると、家屋の耐久性に問題が生じることがあります。

鋼鉄製の外階段を設けている物件の場合、腐食が進行していないか、錆が発生していないかを確認します。腐食が進行していると階段が崩落する危険があるので、階段を交換する必要があります。

上水道からの水漏れがないかも重要な確認事項です。室内外の水道栓を全て閉止した状態で水道メーターの元栓をを開けた際にメーターが動くようであれば、上水道管のどこかから水漏れが発生しています。この場合、漏水箇所を必ず特定して修理する必要があります。特定するために床板や天井、場合によっては外壁を壊して水道管を露出させて調べることになります。多額の費用が発生しますので、漏水箇所の特定が困難な物件は避けるべきです。

室内の床が傾いていないかも重要な確認事項です。全ての居室において、床にビー玉を置いた際にビー玉が転がるかを確認します。
傾きが確認された場合には、床の柱をジャッキアップする、床板を貼り直す等の方法がありますが、後者は対応出来る工務店が非常に少ないです。

物件の売買仲介を依頼する不動産会社に、地元の建築会社または工務店を紹介してもらい、内見の際に同行してもらうことをお勧めします。修繕の費用を見積もり、値引きをお願いするか、購入を控えるかを選択することになります。

3.付加価値をつける
室内のクロスを貼りかえる、外壁を塗料で塗り替える等の小規模なリフォームですが、これを行うと入居者の印象は良くなります。手先の器用なオーナーの中には、これらを御自身で行う方がいらっしゃいます。

郵便受けを鍵付きのものにする、玄関ドアの鍵をディンプルキーにする、1階の雨戸をシャッターにして防犯性能の高い家にする等のリフォームはとても有効です。

和室が多い場合は、その一部を洋室にリノベーションする、シャワートイレにする等も入居促進に寄与します。

4.駐車場を確保できる物件にする
郊外は車がなければ生活できないところが多いです。普通車を最低1台、可能であれば2台を置ける場所があると理想的です。建物の敷地内に駐車場を設けられない場合は、近隣の空き地を駐車場として借りられる場所にします。

鉄道の駅に近ければ駐車場は要らないとお考えになるかもしれませんが、郊外の場合は駅近の立地であっても駐車場が必須です。郊外の戸建住宅を借りたい方にとって、車を利用できない物件は検討の対象外です。

5.敷地内に樹木がある場合は、伐採や剪定を行う
敷地の外から建物が見えないくらいに樹木が生い茂り、ツタなどが壁を伝って生えている状態の住宅を好んで借りる方はいません。伐採や剪定を行うことにより、見栄えを綺麗にします。