現時点における不動産動向予測
本日の投稿は、主に東京都区内の現況について取り上げます。他の地域では必ずしも当てはまらない部分があると思いますので、あらかじめ御了承願います。
不動産会社の訪問や内見を怖がる方が増大中
各種報道によりご承知の通り、現在は東京都に緊急事態宣言が発出されています。東京におけるコロナ禍はかなり深刻であり、来日したオリンピック選手等の感染および発症事例が報道されています。
このような状況であるところに、間もなく「お盆」を迎え、帰省の時期になります。しかし、8月に入りコロナ禍がより深刻な状況になり、新規感染者数がさらに増加した場合は帰省を取りやめる方が増えると思われます。
帰省をやめた方が不動産を探すために不動産会社を訪問したり内見を行うかというと、そのようなことはないと考えています。その理由の一つは「外出は怖い」とお考えになるからです。
コロナ禍が深刻であるにもかかわらず、ワクチンの普及が進みません。特効薬もまだ存在しない状況です。 ロジスティック上の問題によりワクチンの普及が妨げられているとのことですが、現状では外出を怖いと思うのは当然です。
「不動産会社の訪問や内見の際に感染したら困る」と考えるのは当然です。感染者激増の報道が行われた7月上旬以降、私の会社に来られるお客様は激減しています。
賃貸住宅（内見は酷暑との戦い）
毎年8月は不動産の動きが鈍いです。この時期に会社の人事異動が発令されることはありません。また、日本の学校の入学時期は4月であり、大学の入学予定者が下宿先を探す時期ではありません。転居をお考えになる方はとても少ない時期です。
ワンルームまたは1Ｋの単身者用区分マンションは空室が多い状況です。春の繁忙期を過ぎても空室が埋まらず、稼働率が下がっている物件が多いです。原因は、ここ2年位の間に単身者用の収益物件が多数建設されたことと、コロナ禍による飲食店および小売店の廃業です。
室内にエアコンがある物件でも、内見の際に稼働させていることは少ないです。内見の日時が予約されている場合は、不動産会社の担当者が内見実施前に前もってエアコンを稼働させておくことを考えます。しかし、スマートメーターを採用している物件では、エアコンを稼働できないことがあります。
スマートメーターを採用している物件では、前の入居者が退去して電気の利用契約が解約された後にオーナーが電気の利用契約を新たに締結しないと電気を利用することが出来ません。内見を行う短時間だけブレーカーをＯＮにすることさえできないので、内見を希望されるお客様は酷暑の密室の中を内見していただくことになります。
ある物件を1回内見し、酷暑に耐えられないと感じた方は「次の内見は秋以降にしよう」とお考えになりますので、物件の動きは鈍くなります。特に単身者用の区分マンションを借りたいというお客様が激減しており、この状況はしばらく続くと思われます。
新築の木造戸建住宅
コロナ禍で発生した問題としてはウッドショックがあります。新築住宅の建築に必要な木材の輸入が停止したことから価格が急激かつ大幅に上昇しました。アメリカ国内の需要が落ち着き始めていることからそう遠くないうちに沈静化する見込みですが、輸入量が減っている現状は当分の間、続くと思われます。
なお、国内産の材木は高額であることから、建売住宅の建設を行うハウスビルダーでは採用しにくいです。注文住宅において国内産の材木を採用する動きがありますが、建築価格がかなり高額になることから二の足を踏まれるお客様が多いです。
今後、木造住宅の建築価格は間違いなく上昇します。ウッドショックが収束すれば建売住宅の販売が増えると思われますが、ある程度の価格上昇は避けられないと考えています。
土地および中古戸建住宅
コロナ禍のために買い替え需要が激減しています。買い替え先を探すために外出することは危険であるとお考えになる方が多いからです。
また、「買い替え」には費用の支出が伴います。コロナ禍がいつまで続くかが見通せない現状では、新たな費用支出を避けたいと思うのは仕方ありません。
このため、東京都区内では新たに売り出される土地は極めて少ない状況であり、交通の便が良く地形が良い整形地の価格は異常に高騰しています。
その反面、路地状敷地を伴う敷地延長型のいわゆる旗竿地に対する需要は激減しています。現状で土地や戸建住宅の購入を検討されるお客様は資金に余裕がある方が多く、整形地よりも利用しにくい旗竿地は多少安くても購入しないとお考えになるからです。
土地および中古戸建住宅は、土地の形により二極化が進むと予想しています。交通の便が良いか、高級住宅街における整形地は高額で取引されるものの、旗竿地は安く取引されると想定しています。
分譲マンション
都心の物件は大きく値上がりしています。長くなるので明日の投稿において書きます。