不動産の一括査定サイトを利用した方の個人情報が売られている

2020年11月24日

先日、私の会社に目黒区を中心とした不動産の売却希望者に関するリストを購入しないかと持ちかけてきた会社があります。概要は以下の通りです。

・自社では不動産の売却を検討している方の氏名と連絡先、物件の概要、物件の所在地に関する情報をかなり大規模に収集している。
・希望される地域に関する最新の情報を随時提供する用意がある。
・情報の提供は、情報提供費および毎月の会費を支払うことにより行われる。
・データの収集方法は、契約成立後に教える用意がある。
・提供するのは、指定された区内における不動産の売却希望者、連絡先、物件に関する一覧表。
・電話、訪問などを行い、営業活動に利用して欲しい。

これ以上の情報は契約を締結し、会費の支払が確認できないと教えられないとのことなので、丁重にお断りさせていただきました。

会社名を聞いたので検索したところ、広告宣伝をかなり大規模に展開している一括査定サイト運営会社の関連会社でした。この一括査定サイトに査定依頼された物件に関する情報を、所有者などの個人情報も含めてデータ化し、一般の不動産会社に販売しているとしか考えられません。

以前の投稿に書きましたが、そもそも査定は現地を見なければできません。一括査定サイトにおける査定の内容はいい加減であり、売却に関する媒介契約を得たいばかりに相場よりかなり高い価格をつける不動産会社が多いです。査定を依頼された方の情報は売却希望者として一括査定サイトの査定に参加している不動産会社に伝わります。
当然ですが、一括査定サイトを利用すると、複数の不動産会社から電話および訪問の攻勢が始まることが大半です。このため、いわゆる「内緒での売却」はできなくなります。

今までは、査定を依頼された方および査定依頼をされた不動産物件に関する情報は、一括査定に参加している不動産会社のみに伝わっているものと思っていましたが、一覧表が作成され、一般の不動産会社に販売されているとは思いませんでした。

一括査定サイトの利用は絶対にお勧めできません。

私の会社のお客様にも、相場より3割も高い価格を提示された方がいます。この価格で売却して欲しいとのことで、私を頼ってこられたのですが、この価格での売却は極めて困難です。

結局、この方は一括査定サイトで一番高い価格をつけた大手の不動産会社に依頼しましたが、いつまで待っても購入希望の方が現れず、約一年後に相場より2~3割安い価格で建売住宅販売会社に売却しました。

購入希望のお客様が現れない一年の間、「売り出し価格を下げましょう。」と何回も言われ、それでも売れないので困っているところを見計らい、建売住宅販売会社を紹介されたのでしょう。

売却価格は、一括査定サイトが提示した価格の、実に4割引きという異常さです。

※おことわり
今回の投稿に関する内容は、不動産業営業のツールに関する話であり、宅地建物取引業法や政令が定める守秘義務が適用される内容ではないと思われます。
しかし、「個別の相談」として持ち込まれた話であり、相談内容をみだりに公開するのは不適切であると考えられるため、リストの売却話を持ち込んだ会社の社名は申し上げられません。

このブログに掲載するのは、注意喚起を目的としていることをお断りしておきます。