不動産の問題、事後では解決不能であるものが多い

 このブログでは不動産に関する無料相談を受け付けています。

 相談内容の中には、残念ながらどう考えても解決できないものがあります。解決が「不可能」なのではなく、「不能」と言えるものが多いです。

 本日は、相談事例を掲載します。

※相談者のプライバシーに鑑み、さらに相談内容を理解しやすくするために事案を多少アレンジしています。

相談1

収益用区分マンションを住宅ローンで購入しました。住宅ローンによる購入は、不動産会社が勧めました。金融機関に知られると一括返済を求められると思いますが返済できません。このままでは破産する上に詐欺罪に問われる恐れがあります。対応策を教えてください。

 『覆水盆に返らず』の諺があるとおり、物件を購入した後では解決策がありません。申し訳ありませんが、筆者がアドバイスできることはありません。

 収益不動産を住宅ローンで購入する方が多いこと、および問題点を昨日の投稿で述べました。ローンを利用して賃貸アパート、マンション等の収益用不動産を購入する場合は、事業用ローンを利用しなければなりません。住宅ローンを利用すると「期限の利益を喪失した」旨の通告が行われ、残債の一括返済を求められます。最終的には自己破産を選択する方が多いです。
 また、詐欺罪に問われ、懲役刑に処せられることがあります。

相談2

自身が所有するアパートの入居者が、他人に無断転貸をしていることが判明しました。不動産会社を利用して賃貸借契約を締結すると仲介手数料が発生します。このため、自分が賃貸借契約書を作成しました。賃貸借契約書には、無断転貸が行われた場合の項目を書きませんでした。賃借人を退去させる方法を教えてください。

 これも『覆水盆に返らず』であり、解決策はありません。無断転貸を理由として賃借人および転借人の退去を求めることはできません。

 「不動産会社を利用しないで契約すれば仲介手数料は不要になる」という内容のネット記事が数多くあります。確かに貸主と借主とが直接契約し、不動産会社を介在させなければ仲介手数料は不要です。
 しかし、現在の借地借家法は借主有利に構成されています。不動産会社を排除して契約すると、大家さんが多大なリスクを抱える恐れが高いです。契約書の作成はプロに委ねるべきです。仲介手数料を惜しんだことにより多額の損失を被った事案が数多くあります。

相談3

勤務先を解雇され、無収入になったので家賃を滞納し続けました。家賃の督促を無視していたところ、家賃保証会社および大家さんから退去を求められました。移転先の候補となる物件は全て家賃保証会社による保証契約の締結が必須とされています。大家さんが家賃保証会社による家賃の代位弁済を受けたことからどの家賃保証会社も保証契約を引き受けてくれません。このため、入居審査を通過出来ません。入居審査を通過させる方法を教えてください。

 残念ながら、新しい職場が見つからない限り賃貸物件の入居審査を通過出来る方法は何もありません。家賃を滞納し続け、督促を無視したことから家賃保証会社および大家さんとの話し合いもうまく進まないでしょう。
 借りられる物件はほぼないので、住み込みで働けるところを探すか、生活保護の申請を検討するかになると思われます。

 家賃保証会社は家賃滞納者のデータベース(いわゆるブラックリスト)を作成し、保管しています。家賃の代位弁済が行われた場合、このブラックリストに掲載されるので、大半の物件で入居審査を通過出来ません。
 最近はコロナ禍が終息した感がありますが、企業の倒産が激増し、従業員の解雇が増えています。金融機関が実施した無利息無担保融資の期限である2年が到来し、融資した資金の返済を求めているからです。今後は相談者のような方の増加が懸念されます。

 不動産に関する問題が発生した、または発生が予見される場合は手遅れにならないうちに相談することをお勧めします。