収益用不動産の購入に、フラット35は利用できません

2024年2月1日

テレ東BIZ(Yahoo!)の記事から引用します。

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※2024年2月1日追記:リンク先の元記事が削除されたのでリンクを外しました。

若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ【WBS】
7/28(金) 11:31配信 テレ東BIZ

不動産価格の高騰などを受け、今、数千万円に上るローンを借りて不動産投資を始める若い人が増えています。しかし、このローンをめぐって「ある落とし穴」にはまり、中には自己破産に追い込まれるケースも多発しています。その実態を取材しました。

7月22日、都内で開かれたJKAS主催の「不動産トラブル『救済』セミナー」。100人以上が参加しました。参加者の1人が佐藤さん(仮名・30歳)。5年前、投資用にマンションを購入しました。

佐藤さんが購入した物件は、都心の最寄り駅から徒歩1分の1LDK(約45平方メートル)。築15年(購入時)で4900万円でした。

物件自体に問題はありませんでしたが、「投資用のローンではなく、住宅居住用の『フラット35』を使用してしまった。不動産会社とやり取りをしていて、投資用ローンで購入しているものだと思っていた」(佐藤さん)といいます。

投資物件では利用できない「フラット35」

「フラット35」は、最長35年間、一定の金利で借りられる住宅ローン。
問題は、このローンを利用できるのは、本人や親族が住むための物件を購入する場合に限られていることです。佐藤さんのように、投資用物件で使うと、不正利用にあたります。

購入から1年後、佐藤さんの元に届いたのは、住宅金融支援機構からの居住確認でした。

「不動産会社に手紙が来たということを言ったときに、アンケートのようなものだから答えなくていいと言われ、私もそういうものなのかと楽観的に捉えてしまった」(佐藤さん)

最終的に居住実態がないことが確認され、佐藤さんは住宅支援機構から残ったローンの一括返済を求められました。その後、物件を販売した不動産会社とは、連絡が取れなくなったといいます。

「不動産のプロは詐欺のようなことはしないだろうと思っていた。後悔している」(佐藤さん)

実は今、佐藤さんのように、知らずにフラット35の不正利用をしてしまう事例が相次いでいます。住宅金融支援機構の調査によると、その不正利用のうち84%が20代から30代前半の購入者でした。

田中さんが購入した物件には、壁に複数の穴が開いていた

取材を進めると、さらに悪質な不動産会社の存在が見えてきました。

5年前に、不動産投資を始めた田中さん(仮名・29歳)。4400万円で投資用に購入したという川崎市内のマンションは築24年(購入時)で、3LDK(約70平方メートル)です。

「(壁には)穴が複数開けられていて、ガラスの縁のところも割れている」(田中さん)

壁には多数の落書きが描かれていました。「ミストサウナ付き」と書いてあった浴室は、水回りも古いままです。今年1月に入居者が出て行き、初めて物件を確認したといいます。

田中さんが購入のために利用したのも、フラット35のローン。投資用に購入したため、田中さんの元にも一括返済の督促が来ました。

「不動産会社に相談しても、ろくな回答がもらえなかった。先輩に相談したときに、もう自己破産するしかないと言われた」(田中さん)

田中さんが提出した資料と開示された資料を比べると月収が10万円ほど上乗せされている

不動産会社が金融機関に提出していた書類を入手したところ、月収が10万円ほど上乗せされ、年収にすると100万円近く水増しされていました。ローンの審査を通すために源泉徴収票など多くの書類が書き換えられていたのです。

「本当に腹立たしい気持ちでいっぱいです」(田中さん)

田中さんに物件を販売した不動産会社のオフィスを訪ねました。そこにあったのはレンタルオフィス。しかし、この不動産会社がいたことはないということでした。

~以下、略~

テレ東BIZ(Yahoo!)

 このブログでは繰り返し注意を喚起していますが、未だに騙される方が多いようです。騙されて購入すると最悪の場合は破産宣告を受け、さらに詐欺罪として処罰されることがあります。

 「騙された」と主張しても、収益用区分マンションの購入者は「事業者」であり、「消費者」とは見做されません。このため、「消費者」としての保護を受けられません。

 そればかりか、外形的には金融機関や住宅支援機構に対する詐欺行為であると見做されます。このため、民事責任の他に刑事責任を追及されても仕方ありません。

 最近は、不動産に関する知識がない30代前半以下の方がターゲットにされているようです。以下が典型的なパターンです。騙されると確実に人生が破滅します。

典型的なパターン

・売買の対象不動産は収益用賃貸マンションの区分所有権。
・綺麗な貸会議室で行われるセミナー等で、収益用区分マンションの購入を強く勧められる。
・購入すれば大きな利益を得られると錯覚し、直ちに購入を決断。
・不動産会社は、収益用不動産に利用できないフラット35等の住宅ローンを利用させる。
・不動産会社が源泉徴収票の記載金額を改ざんし、金融機関に提出。
・不動産売買契約および金銭消費貸借契約を締結し、物件が引き渡される。
・購入後に住宅金融支援機構が居住者確認を実施。生活実態がないことが判明。
・金銭消費貸借契約に反する行為であるとして、住宅金融支援機構が期限の利益喪失を通告。
・住宅金融支援機構から残債の一括返済を請求される。
・一括返済が出来ない場合、不動産が任意売却または不動産競売により安く売られる。
・購入した価額より安く売られるので残った借金を返済できず、自己破産。
・場合により詐欺罪で告訴され、懲役刑に処せられる(詐欺罪には罰金刑の定めがない)。

 被害者は都心の貸会議室などで不動産会社が開催する不動産投資セミナー等で勧誘され、騙されているようです。最近、都心の貸会議室は競争が激しいです。レンタル料が安い割には設備がかなり充実しており、内装を綺麗にしています。そして交通の便が良好なところが増えています。

 会場では「弊社が勧める物件を購入すれば直ちに儲かります。」等のセールストークが展開されます。会場で放映されるビデオに「成功者」と称する方が登場し、「誰でも成功できる」等と言い、購入を煽っているようです。 

 「このような豪華な会場で説明会を開催する会社であれば安心できる。」とか「成功者がいるから大丈夫。」などと思う方がとても多いようです。その後、被害者は区分マンションの購入を決断し、不動産会社の担当者に言われるまま、契約書やローン申請書類に署名捺印します。

 フラット35等の住宅ローンは事業用ローンよりも審査基準が緩いと言われています。このため、悪質な業者は収益用不動産であるにもかかわらずフラット35等の住宅ローンを利用するように強く勧めます。

 「みんなやっているから大丈夫です。」とか「ウチの会社の上司もフラット35で収益物件を購入しています。」等と言います。全てウソです。フラット35を利用したら破産が確実であることを知りながら申請させるので、極めて悪質です。

 このような悪徳不動産会社の経営者及び従業員の精神構造は地面師等と同じであり、刹那的な快楽を求めているに過ぎません。

 レンタルオフィスで営業するのは一定の利益が出た時点で会社をたたみ、逃亡するためです。従来はレンタルオフィスにおける宅地建物取引業の開業はNG(免許申請却下)とされていました。しかし、最近は腕の良い行政書士に依頼することによりレンタルオフィスでも宅地建物取引業免許を取得できることがあります。

 住宅ローンを利用して収益用不動産を購入すると、確実に人生が破滅します。残念ながら住宅ローンを利用して収益用不動産を購入した方を救済する手段はありません。収益用不動産の購入は「事業」であることから購入者は「事業者」です。「消費者」としての保護を受けることはできません。

 財産を根こそぎ取り上げられ、さらに借金が残り自己破産に負い込まれます。そればかりか、詐欺罪で告発された場合は逮捕され、懲役刑に処せられることにつながります。会社員である場合は、勤務先から確実に解雇されます。

 人生が根底から破滅しますので、騙されないようにくれぐれもご注意ください。