収益用不動産を購入する際は、現地で物件確認することが必須

 ある投資家(以下A氏)の方と雑談した際に聞いた話を紹介します。

 A氏は1棟アパートまたは1棟マンションを購入するため、ある不動産会社に物件情報を請求し、渡された資料を検討した結果、候補となる物件を見つけたとのことです。

 不動産会社に「現地を訪問して物件を確認したいので対応をお願いします。」と連絡したところ、「物件を訪問する必要はありません。プロの投資家であれば現地訪問や内見を1回も行うことなく現状で購入します。この物件もお客様の訪問は不要ですし、現地を訪問せずに購入してくれるプロの投資家に売りたいと考えています。現地をいちいち確認するのはプロの投資家ではありません。あなたもプロの投資家であれば現地訪問をせず、即決しないと他の方に先に買われることくらいわかっているでしょう。」と言われたそうです。

 A氏は「私はプロの投資家です。馬鹿にしないでください。二度とお宅に物件探しを頼むことはありません。」と言って電話を切ったそうです。

 不動産会社の「現地訪問をしないのがプロの投資家である」というセールストークには恐れ入ります。「プロの投資家であれば...」とか、「現地をいちいち確認訪問するのはプロの投資家ではありません」と強調し、「プロの投資家は何も言わずに購入する」という論法で迫られたとのことです。

 この不動産会社の営業担当は、A氏を収益用不動産の運営に関する初心者であると考えたのでしょう。営業担当は「騙してでも購入させよう。購入してくれれば誰でも構わない。大損しても知ったことではない。」という心理状態であったものと思われます。

 しかし、 「プロの投資家であれば...」とか、「現地をいちいち確認訪問するのはプロの投資家ではありません。」、「現地確認していたら他の方が先に購入します。」等の言葉に騙され、価格が数千万円~何億円もする物件を現地確認せずに購入する方がとても多いようです。

 高値づかみであった、購入後に不具合が判明して莫大な修繕費が発生した、家賃の長期滞納者が複数いた等がよくあり、酷い場合は事業用ローンの返済ができなくなり、抵当権または根抵当権が実行され、任意売却または不動産競売により安値で売却され、多額の借金が残ることがあります。

 不動産会社がこのようなセールストークを展開する物件には、現地確認をされたら購入しないと判断される何らかの理由があると考えるべきです。具体的には以下の内容等が該当します。

  • 建物の外壁に大きなクラックが入っているのに補修されていない。
  • エレベーターの揺れ方がおかしい上に異音がする。定期点検を怠っている。
  • オートロックの扉が異常な動作をする。人がいなくても勝手に開閉する。
  • 建物の外観は綺麗だが、廊下などの共用部にゴミが散乱したまま放置されている。
  • 近くにある工場から発生する騒音が酷い。
  • 建物の前面道路幅が狭いのに大型ダンプカーが頻繁に通行する。安心して歩けない。
  • 建物が高台の上にあるが、擁壁が古いことから崩れる恐れがある。
  • 建物の近くに墓があり、眺望の大半が墓である。
  • 建物の近くに川があり、地盤が軟弱である恐れがある。
  • 最寄り駅から近いが、駅から物件までの道に急坂がある。

 他にもありますが、キリがないので省略します。 上記の内容が該当する場合には、価格に反映されていてしかるべきです。件の営業担当は「現地訪問をしないのがプロの投資家である」 と言い放ち、現地訪問をさせずに高値づかみをさせようとしているわけです。

  「現地訪問をしないのがプロの投資家である」 というのは真っ赤なウソです。くれぐれも騙されないようにしてください。このようなことを言われた場合、その不動産会社は悪徳不動産会社なので利用しないことを強くお勧めします。