初めて来店された方に、非公開の売買物件資料を渡せない理由

初めて来店された方から「目黒区内で非公開または未公開の売物件を探しています。非公開または未公開物件の資料をください。」と言われることがあります。

良い物件は非公開物件、または未公開物件の中にしかないと思い込んでいるのですが、非公開物件および未公開物件とは何かを理解していないことから、このような短絡的な申し出をされるのだと思います。

不動産会社が売主様から不動産の売却を依頼された場合、不動産会社と売主様との間に媒介契約を締結します。専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約のいずれかになりますが、専属専任媒介契約の場合は5日以内、専任媒介契約の場合は7日以内にレインズに登録しなければなりません(日数は休日を除いてカウントします)。

媒介契約の種類、およびレインズについては、このブログの過去記事を参照願います。

レインズに登録されると、この時点からは「未公開物件」または「非公開物件」ではなくなります。レインズに登録されただけでは、一般の方が物件の詳細を知ることが出来ませんが、全国の不動産会社において詳細を知ることが可能になります。

不動産に関する説明をしているWEBサイトや解説本の中には、レインズに掲載していてもポータルサイトに掲載されず、折り込み広告などで広告チラシが配布されていなければ「未公開物件」または「非公開物件」であるとするものが散見されますが、誤りです。

未公開物件とは何か
売主様から不動産の売却を依頼された不動産会社が最初に行うのは、自社に探索を依頼されているお客様の要望に合致する物件であるかの確認です。売主様と不動産会社との間に専属専任媒介契約または専任媒介契約を締結している場合は、掲載しないことが認められる期間(5日または7日)内は、自社のお客様に対し、先に紹介します。

そして物件の紹介を受けたお客様において購入を決断され、販売条件が売主様との間で合意した場合に売買契約を締結することになります。

「未公開物件」とは、売主様が不動産会社に売却を依頼して間もない物件で、レインズに掲載しないことが認められる期間(5日または7日)が経過した後にはレインズに掲載され、全国の不動産会社に公開される物件のことです。

非公開物件とは何か
「非公開物件」とは、レインズには掲載せず、さらに物件情報が伝わる先を制限している物件のことです。売主様が内緒で売却することを希望されている場合、または有名人が居住していた邸宅等を売却する際に「非公開物件」としての販売活動が行われます。

「非公開物件」として売却するように依頼された不動産会社は、売主様との間に「一般媒介契約」を締結します。「一般媒介契約」を締結した場合、レインズへの掲載義務はありません。

売却を受託した不動産会社は、信用を置く不動産会社のみに情報を流します。情報を受けた不動産会社は、信用できる買主様、それも予算や希望条件が合致している買主様に対してのみ、情報を個別に流します。情報をむやみに拡散させることはしません。このことにより不動産会社間の信用を維持しています。

なお、売主様の売却意思が薄弱である等の理由により非公開とされる物件がありますが、本日の投稿記事においては、このような物件を除外して考えます。

一見のお客様に非公開または未公開の物件情報をお渡しできない理由
不動産業者の数はコンビニエンスストアの数よりも多い状況です。個別の不動産会社から見た場合、「非公開物件」としての売却を依頼されることはとても少ないのが現状です。

また、「未公開物件」は5日~7日以内にはレインズに掲載することになりますので、これも数が極めて少ないです。こちらも物件の紹介を以前から依頼されているお客様に対し、優先的に御紹介することになります。

前述したとおり、「非公開物件」に関する情報は信用できる買主様、それも探している物件の内容が明確であり、その内容が当該非公開物件の内容と一致していると思われる買主様に対してのみ、情報を個別に流します。情報公開という観点からは閉鎖的と思われるかもしれませんが、売主様の要望が「内緒の売却」であり、それは売主様の権利ですから仕方ありません。

以上の理由により、一見のお客様には非公開物件および未公開物件の情報をお渡しいたしかねるのです。

不動産の購入を希望される場合は、希望する内容を不動産会社に伝え、物件が出てきたら知らせるように依頼することが良い物件を購入できる早道です。不動産会社を訪問した初日には購入を希望する物件の概要、資金計画などを伝え、その後は2週間~2か月に一度程度、希望条件に合致する物件がないかを確認していただくことをお勧めします。