レインズ、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約

今後、不動産に関する様々な話題を取り上げていきますが、言葉の説明をしておかないと意味がわからないと思いますので、本日はこの説明をします。

レインズ(REINS)

国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営するネットワークシステムです。不動産流通機構は、(公財)東日本不動産流通機構、(公社)中部圏不動産流通機構、(公社)近畿圏不動産流通機構、(公社)西日本不動産流通機構の4つがあります。宅地建物取引業の免許を有する不動産会社および金融機関のみが利用できます。

イメージとしては、アットホーム、スーモなどのポータルサイトに近いとお考えください。

不動産を売りたい方が不動産会社に売却依頼を行う際には、不動産会社との間に媒介契約を締結します。具体的には専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約のいずれかを締結することになります。

専属専任媒介契約または専任媒介契約を締結する場合は、法律により不動産会社は不動産物件情報をレインズに必ず掲載しなければなりません。

不動産会社が物件情報を掲載すると登録証明書が発行されます。売主(依頼者)は、不動産会社から登録証明書を受け取ってください。(渡してくれない場合は、悪徳不動産会社と見做して構いません。)

売主(依頼主)は登録証明書に記載されているIDおよびパスワードを利用することにより、WEBサイトにから登録内容を御自身で確認することが出来ます。

「レインズは誰でも自由に閲覧できるようにするべきである。」とする意見が解説本や雑誌、ネット記事に散見されます。しかし、レインズに掲載されている情報は個人情報です。それに「売却したい不動産の情報を不動産会社以外には見せたくない。」という依頼主が増えているので、一般公開にはなじまないと思います。
これは、後日改めて書くことにします。

専属専任媒介契約

売主(依頼者)に課される事項

売主が売却に向けた販売活動を依頼できるのは1社に限られる。
販売活動を他の不動産会社に重ねて依頼することは認められない。
売主自身が買主を探し出した場合でも、販売活動を依頼した不動産会社を通さなければ契約できない。つまり、仲介手数料を支払う必要がある。(自己発見取引の場合でもその不動産会社を通じて契約する必要がある。)

不動産会社に課される事項

媒介契約の締結後、不動産情報をレインズに5日以内に登録する必要がある。
売却に向けた販売活動の状況を、1週間に1回以上、依頼者に対して行う。
レインズ掲載の猶予期間内は、不動産会社が自社の購入希望者のみに物件を紹介できる。

専任媒介契約

売主(依頼者)に課される事項

売主が売却に向けた販売活動を依頼できるのは1社に限られる。
販売活動を他の不動産会社に重ねて依頼することは認められない。
売主自身が買主を探し出した場合は、販売活動を依頼した不動産会社を通さなくても契約できる。ただし、買主側に別の不動産会社が介在すると、売主(依頼者)側の不動産会社から専任媒介契約を潜脱する行為であると見做されてトラブルになる恐れがある。あくまでも売主(依頼者)と買主が不動産会社を通さずに直接契約できる権利があるに過ぎないと考えるべきである。

不動産会社に課される事項

媒介契約の締結後、不動産情報をレインズに7日以内に登録する必要がある。
売却に向けた販売活動の状況を、2週間に1回以上、依頼者に対して行う。
レインズ掲載の猶予期間内は、不動産会社が自社の購入希望者のみに物件を紹介できる。

一般媒介契約

売主(依頼者)

販売活動を他の不動産会社に重ねて依頼することが出来る。

不動産会社

レインズへの登録は任意。

一般媒介契約の場合、不動産会社としては依頼者から仲介手数料を必ずもらえるとは限らないため、広告宣伝活動はどうしても控えめになります。例えばチラシの配布を依頼した場合、専属専任媒介契約または専任媒介契約が締結されていれば広告作成費をサービスしてくれることが多いですが、一般媒介契約の場合は実費を請求されることがあります。

近隣の方に内緒で売却したい場合にも、一般媒介契約はよく利用されます。著名人が住んでいた住宅の売却や、特に売り急ぐ事情があるために住宅ローンを利用できない場合は、売主(依頼者)がレインズ掲載を承諾しません。このような場合は一般媒介契約にて対応します。いわゆる「非公開物件」は、大半が一般媒介契約です。

媒介契約の契約期間は、通常は3か月とされています。当事者間で合意すれば、延長できます。また、売主(依頼者)はいつでも媒介契約を解約できます。

よく間違える方が多いのですが、ポータルサイトなどで公開されていなくても、レインズに掲載されている物件はいわゆる「非公開物件」ではありません。これについても後日に詳しく書くことにします。