今年の公示地価が発表されました。家賃への影響は?

今年の公示地価が公開されました。久しぶりの下落傾向です。特に大都市の商業地では1~2%程度下がっているようですが、平均的には0.6%程度の下落であったようです。地方都市では大きな変化はなく、前年とあまり変わっていないところが多いようです。

原因は言わずもがなであり、新型コロナウイルス感染症によるものです。

家賃に対する影響
家賃の決め方ですが、不動産会社において近隣の家賃相場を調査し、個々の物件における状況を加味して適正賃料を査定します。次にオーナーに提示し、オーナーの意向をうかがいます。

家賃を決める大きな要素は、物件が建つエリアの人気、お部屋の状態、およびオーナーの意向です。以下、個々について説明します。

家賃相場
家賃を決める際に重視するのは、近くの物件が単位面積当たりいくらで貸し出されているかという、いわゆる「家賃相場」です。主に築20年程度であり、故障している設備がなく、快適に生活できると思われる物件の家賃を参考にします。

家賃相場は、再開発が行われたことにより大型商業施設が建設されたとか、鉄道の新駅が開業した場合は、近くのエリアにおける人気が上昇するので上昇します。逆に、大型商業施設が閉店した場合等はエリアに対する人気がなくなりますので、家賃相場は下がります。

物件の状況
建物が新築または築5年以内である物件、水回りを新品に更新した物件、フルリフォームを行った物件は家賃を上げる要素になります。また、ペット飼育可とすることも家賃をアップできる要素になります。これらの物件では、近隣の家賃相場より5~8%アップした家賃を提案させていただくことが多いです。

しかし、家賃を大幅に下げた提案をするしかない物件があります。内部かかなり荒れているのにリフォームせずに貸し出される物件、心理的瑕疵がある物件、大通りの近くかつ谷底にあることから排気ガスが漂いやすい物件、鉄道の高架橋に隣接している物件等です。

特に心理的瑕疵がある物件では、家賃を相場の半額で提案することがありますし、その他の場合でも1~2割程度安い家賃を提案させていただくことがあります。

オーナーの意向
大半のオーナーは、前回の入居者募集に際し募集開始から入居者が決まるまでに多くの日数を要した物件、および設備の更新時期が近いものの更新を行わない物件、使い勝手が良くない間取りの物件は賃料を値下げしても仕方ないと考えます。

しかし、前回の入居者募集において募集を開始してからすぐに入居者が決まった物件、および水回りや内装を全面的にリフォームした物件、使い勝手が良い物件では募集家賃を値上げできないかと考えます。

また、オーナーの多くは物件購入費と利回りとの関係を重視し、家賃収入から金融機関に対するローンを返済しなければなりませんので、どうしても家賃を下げたがらない傾向があります。

結論
前述したとおり、家賃を決める大きな要素は、物件が建つエリアの人気、お部屋の状態、およびオーナーの意向です。物件が所在するエリアの人気と公示地価とはある程度リンクしていますので、公示地価と家賃とは全く関係ないとは言えませんが、公示地価が多少変化しただけでは家賃に対する影響はありません。