前面道路が私道である土地や戸建住宅を購入する際の注意事項(その2)

前面道路が私道である物件の場合、この私道の持分権者より掘削許可を貰えないことがあります。掘削許可が貰えないと、水道、下水道、都市ガスを利用できないことになります。

通常、私道に面した土地の売買においては、全ての私道所有者または持分権者が、その土地に対する掘削許可を与えていることが前提です。

掘削許可を得られないと、水道管、下水道管(開通している地域)、ガス管を引くことが出来ません。都市ガスを利用できない場合はプロパンガスを利用すれば良いのですが、水道管および下水道管(開通している地域)を引く事が出来ない土地に建物を建てて居住することはできません。

通常は、売主が掘削許可を得た上で売買契約を締結します。その際に売主は、私道所有者または持分権者との間に交わした「掘削許可に関する覚書」等の書類を買主に渡します。

しかし、私道所有者(または持分権者)の中には、掘削許可を与えることに同意しない方がたまにいます。

何故、掘削許可を与えない私道所有者(持分権者)がいるのか
1.人間関係
売買の目的とされる土地上に居住していた方と、私道所有者(または持分権者)との人間関係が険悪であった場合に、仕返しの意味で購入希望者に掘削許可を与えないことがあります。

売主と私道所有者(または持分権者)との人間関係は、その土地を購入しようとする方には関係ないのですが、売主に意地悪をしたいということで掘削許可を与えないことがあります。

2.金銭目的
「掘削許可を与えても構わないが、承諾料をもらいたい」と考えている私道所有者(または持分権者)がいます。

承諾料を欲しいのであれば初めからそのように主張すればよいのですが、見栄を張るためなのか、購入希望者から「承諾料を支払いますから掘削を許可してください。」と申し出るのを待っていることがあります。売買仲介を行う不動産業者泣かせの私道所有者(または持分権者)です。

3.修繕費および維持費用の問題
私道および付帯設備に何らかの損傷が生じた場合の修繕費、および維持費は私道所有者(または持分権者)の負担になります。その他にも定期的に点検費用が発生することがあります。

アスファルト舗装の私道が陥没した、側溝を覆う板が割れた、台風通過後に私道上の電柱が傾いた等の場合に修繕費が発生します。私道が崖地に面している場合は崖の状態を定期的に確認し、その結果、擁壁の補修工事が必要になることがあります。

維持費および修繕費は予告なく発生することが多く、かなり高額になることがあります。私道所有者(または持分権者)は、その費用を分担して支払う必要がありますが、複数人の共同所有になっている場合は修繕費の支払いに応じない者や、支払能力がないことから支払えない方が出てくることがあります。

前述した、私道の共同所有者間における人間関係の悪化は、維持費および修繕費補修費用の負担をめぐる争いに起因していることがあります。

掘削許可を得られない土地の購入を勧められた場合
無価値ではありませんが、不動産売買の対象にはなりません。掘削許可を得られない、私道に面した土地の購入を勧められた際には、購入を控えるのが賢明です。