緊急事態宣言の発出中は、内見および契約に日時を要します

ご承知の通り、1都4県に緊急事態宣言が発出されました。関西の各府県においても緊急事態宣言が発出される可能性が高くなっています。

この緊急事態宣言は飲食店の利用抑制を念頭に置いていますが、東京都の場合は他の業種でもテレワークを更に促進し、出勤者数の7割を減らすように要請されています。

具体的には社員の6割以上に対し、週3日以上をテレワークによる勤務にすることが要請されています。また、様々な事情により自宅勤務ができない方には東京都がいわゆるサテライトオフィスを提供するとのことです。この場合、サテライトオフィスの場所は多摩地域とのことです。

不動産会社でもテレワーク促進の動きがあります。図面や書類の作成は、システム環境が整っていればテレワークでも可能です。このため、物件図面の作成を日常業務としている事務員、賃貸物件の重要事項説明書および契約書を作成することのみを日常業務としている宅地建物取引士に対し、テレワークで行うことを命じている会社があります。

大手の不動産会社では営業目的で他社を訪問する行為を禁止するところが増えています。街中の不動産会社でも、「当分の間、営業目的による訪問はお断りします。」と書いた紙を店頭に貼り出す不動産会社が多くなりました。

雇用調整助成金を活用するなどの方法により、従業員を休職させている会社があります。また、街中の不動産会社の中には「人件費を削減できる」という理由により週の半分以上を臨時に休業している会社があります。

お客様の希望条件に合致する物件が、自社で預かっている物件の中にない場合は他社の物件を紹介することになります。しかし、この他社が休業している、または担当者が出勤していない場合には、すぐの対応をどうしても行えないことがあります。

お客様が来店された際に物件紹介図面をその場でお渡しすることができても、内見を別の日に改めて実施しなければならないことが増えています。

コロナ禍になる前は、物件紹介および内見、場合により入居申込書(賃貸物件の場合)の受領迄を1日で終わらせることが可能でした。しかし、現状のコロナ禍ではかなり難しくなっています。

賃貸物件の場合は入居申込書、売買物件の場合は買付証明の受領後に、入居または売買の可否を判断することになりますが、このあたりについても今後は遅延が生じることが避けられません。

賃貸物件の場合、令和2年4月に改正民法が施行されたことにより、家賃保証会社による審査を通過しなければ入居を認めないとする物件が増えています。

家賃保証会社では出勤者数を抑制し、さらに勤務時間の短縮を図っていることから、入居審査には従来よりも日時を要します。コロナ禍になる前は、入居申込書が提出された翌営業日、遅くても翌々営業日には審査結果が判明することが大半でしたが、今後は3~4日前後を要することがあり得ます。

売買物件の場合にはローン審査があります。金融機関では、住宅ローンの審査担当者を減らしていることから、審査日数の長期化が予想されます。

コロナ禍であることから賃貸物件の住み替え、または自宅を購入される方は激減すると思います。しかし、何らかの理由で賃貸物件を新たに借りる、または自宅を購入される方におかれては、上述の状況であることを理解された上でスケジュールを組まれることをお勧めします。