人や車両は私道を自由に通行できるか
前面道路が私道である建物の所有者から、「関係者を除き前面道路を通行禁止にできないか」について相談されることがあります。
「関係者」とは、この私道が前面道路である建物の所有者および家族、郵便局員、宅配業者、電気やガス点検員、食品デリバリー業者です。
観光地にある別荘地で道路が私道の場合、私道の入り口に遮断機を設け、別荘地内に入る車両を規制しているところがあります。このことから、自宅の前にある私道を関係者以外通行禁止に出来ないかとお考えになる方がいらっしゃいます。
確かに私道は私有地なので所有者が「通行禁止」にすれば「関係者以外立入禁止」にできるように思えます。しかし、この私道が「建築基準法が定める道路」であるかにより対応は変わります。
建築基準法が定める道路、位置指定道路
建築基準法は、建物を建設する際は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないことを定めています。しかし、幅員4m未満の場合でも建築基準法が定められた昭和25年11月23日より前から住宅が立ち並び、将来的に幅員4mに出来る余地がある場合は「42条2項道路」とされ「建築基準法が定める道路」になり、建物の建築が一定の条件で認められます。この場合は市区町村により「位置指定道路」として指定されていることが大半です。
昭和25年11月23日の建築基準法施行後に幅員4m未満の「道」を設けても、これは「道路」ではなく「通路」とされます。建築基準法が定める道路ではないので、前面が「通路」である場合、建物を建てることは原則として法的に許容されません。
ただし、防災上の危険が生じない場合は特定行政庁が開催する建築審査会に審議し、許可を得れば建築できます。
通常は、「道」を開通させた後に「私道」にしてもらう手続を行います。具体的には特定行政庁に「位置指定道路」として認めてもらう手続を行います。
私道が「建築基準法が定める道路」の場合
通常、私道は個人又は法人、いわゆる民間人の所有に属します(一部例外あり)。このため、所有者が「通行禁止」を決定すれば「関係者以外立入禁止」にできるように思えます。
しかし、「位置指定道路」等で「建築基準法が定める道路」の場合は、「立入禁止」にして人の通行を禁止することは法的に認められません。
なお、車両の通行は、「私道」の所有者(持分権者)が「通行禁止」と定めることにより「通行禁止」にできます。また、道路所有者の関係車両のみ通行を許可することも可能です。このため、前述したように別荘地における入口に遮断機を設け、別荘地内に入る車両を規制することは合法です。
位置指定道路に面した土地や建物を購入する際は、車両の通行が可能かの確認をお勧めします。
土地の売主が車庫を設けて自家用車を入庫させていた場合でも、当該土地の売却後に私道の他の所有者が車両の通行禁止を決めた場合は、その土地を購入した方が自家用車を入庫させることが出来なくなります。
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