前面道路が私道である土地の購入に関する注意点

 自宅用、アパート・マンションなどの収益用物件を問わず、建物を新築する際の土地選びは注意が必要です。前面道路が私道である場合には注意するべき内容がいくつかありますので、説明します。

 購入を検討している土地の前面道路における幅員が広い場合でも、道路の所有者が個人または法人である場合は注意が必要です。

1.私道の掘削許可を得られないことがある
 私道の掘削を行う場合は、私道の持分を有する所有者全員の承諾が必要です。ところが、敷地の持分権者の一部にどうしても掘削の許可をしてくれないことがあります。
 私道の舗装は、持分権者全員が費用を分担して支出していることが多いです。このため、特に舗装工事を行った直後に私道に面する土地が売り出された場合、この土地の購入者が掘削許可を求めても許可をして貰えないことがよくあります。

 掘削許可を得られない場合、前面道路に都市ガスのガス管が埋設されていも、土地に既設のガス管が引き込まれていない場合には、購入した土地で都市ガスを利用できないことがあります。この場合は割高になりますが、プロパンガスを利用するしかありません。

2.自動車の乗り入れを断られることがある
 私道の場合、人の通行は認められます。しかし、車両の通行は認められないことがよくあります。特に幅員が狭い狭隘道路の場合には、車の通行は危険であるとして通行を拒否されることがあります。
 自動車の乗り入れを不可とされることについて納得できないとして裁判で決着を付けた事案がいくつかあります。幅が狭い道路(道路幅2m前後)の場合には車両の通行不可とした判例があります。また、私道の奥にトラック駐車場の設置をすることを認めなかった裁判例があります。

3.自動車の通行が認められない場合、引越や改修工事、取り壊し等に影響する
 前面道路に引越トラックを駐車できない場合、公道などからいわゆる手押しの荷車で荷物の搬入および搬出を行う必要があります。引越業者により、料金が割高になることがあります。
 また、将来において改修工事や建物を取り壊す際の費用も割高になります。

4.地上に電線等を通す際にも私道の持分を有する所有者全員の承諾が必要
 最近増えているのは光回線の敷設工事です。新たに開発する土地でなければ既設の電柱に電話線および電気配線が敷設されていることがほとんどですが、光ケーブルは未だに敷設されていないことがよくあります。

 高速インターネットを利用したいということで、既設の電柱に光ケーブルを敷設する際には私道の持分を有する所有者全員の承諾が必要です。

まとめ
 私道に面した土地を購入する際は、自動車の通行が認められるか、さらに掘削許可を容易に得られるかについて、不動産会社を通じてよく確認することが必要です。
 私道の維持費用の一部を負担する義務が生じますが、私道の持分をある程度購入することにより掘削許可などの許可を得られやすくなる傾向があります。