不動産の購入後は不動産取得税に要注意(前編)

 不動産を購入する際には物件価格の他に、契約書に貼付する印紙代、仲介手数料、登録免許税、司法書士手数料が必要です。登録免許税とは法務局が登記を行う際の手数料を税金として課税するものであり、通常は司法書士が算出し、司法書士手数料に含めて請求されます。

 さらに固定資産税および都市計画税は1月1日現在の所有者に対して1年分を一括して課税されるので、実務では売主および買主の双方で按分計算をして決済時に清算するのが通常です。ローンを利用する際は、これらの他にローンの取扱手数料が必要になります。

 決済が終わり、不動産の所有権が移転しても、まだ支払わなければならない税金があります。これが不動産取得税です。

 「本則」では固定資産課税台帳に記載されている価格の3%とされています。なお、土地については令和6年3月31日迄に取得したものであれば固定資産課税台帳における記載価格の半分の3%とされています。ただし、店舗・事務所などの事業用物件における建屋の税率は4%とされています。

 この不動産取得税は都道府県が課す税金ですが、制度上の問題がいくつかあるので是正して欲しいと思っています。

1.申告期限が都道府県によりバラバラ

 所有権移転の日から東京都は30日、神奈川県は10日以内に申告しなければならないと定めています。このように、申告期限は都道府県により統一されていません。

 なお、10日以内に所有権移転登記が完了することはまずないのが実情なので、条例により課税対象となる方に直接連絡し、これをもって申告があったものと同一視すると見做す旨を定めている県があります。 

2.納付予告の有無、通知の送付時期が都道府県により異なる

 通常、所有権移転から2~3か月後に不動産取得税を納付する必要がある旨の通知があります。なお、都道府県によりこの通知が来るのに6か月以上を要することがあります。

 なお、千葉県では納付を予告する通知は発送されず、予告なく納税額を記載した納付書が送られてきます。他の県でもそのように対応しているところがあるかもしれません。

3.税額が高額

 前述したとおり、かなり高額です。都心の戸建住宅の場合、税額が100万円近くになることがよくあります。不動産の購入後、かなりの日数が経過してから請求されるので、買主様の中にはこれを工面できないとして困惑される方がいらっしゃいます。

 ちなみに私の会社で不動産を購入され、不動産取得税が課税されるお客様にはこの税金に関する御案内を必ず行っています。

 以上の他にも問題点があります。これについては後編(次回投稿)を参照願います。