大手不動産会社部長が取引先から「裏金」、懲戒解雇

2023年11月27日

朝日新聞デジタルの記事から引用します。

※リンク先の元記事が削除され、リンクが切れることがあります。

※2023年2月25日更新:元記事が削除されたのでリンクを外しました。

※2023年11月27日追記:名誉権の問題があるため、引用記事内における企業名および容疑者の氏名を修正しました。

不動産仲介大手の元部長、取引先から「裏金」か 国税が申告漏れ指摘
原田悠自 2023年2月7日 11時45分

 不動産仲介大手A社(東京都千代田区)の元部長が、取引先の脱税行為に関わり、現金数千万円を受け取ったのに税務申告をしなかったとして、国税当局から所得税の申告漏れを指摘されていたことが、関係者への取材でわかった。

 同社は朝日新聞の取材に「社員が取引先から金銭を受け取った事実が判明したため、社内規則違反で懲戒解雇にした。誠に遺憾で、社内コンプライアンスを強化する」と回答した。「個人のプライバシーに関わるため」として、一連の経緯は発表していない。

 また、同社の取引先の不動産仲介会社B社(東京都新宿区)と代表Cが、東京国税局査察部から法人税法違反容疑で東京地検に告発されたことも判明した。代表Cは不正を認め、修正申告と納税を済ませたとみられる。

 関係者によると、代表Cは、都内の土地やマンションを売り主から購入する際、知人の業者に仲介料を払ったと偽装するなどして架空の経費を計上。2021年9月までの2年間にこうした手口などで計約1億9千万円の所得を隠し、法人税約4800万円を免れたとされる。これらの資金の一部が元部長らに渡っていたとみられる。

~以下、略~

朝日新聞デジタル

 この事件はA社の部長がB社に不動産を安く提供し、B社はこれを転売して利益を得たものの架空の経費を計上して所得を隠し「裏金」を造ったこと、A社の部長がこの「裏金」を受け取ったことが問題になったものです。

 B社は「裏金」を造ったことが法人税法違反として東京地検に告発され、A社の部長は受け取った金銭を申告しなかったことにより所得税法違反として申告漏れを指摘されました。

 不動産が転売されたことにより金銭が動いたとしても、合法であれば問題ありません。取引の際に仲介手数料が支払われた場合でも、その金額が宅地建物取引業法が定める範囲内であり、税務上の申告が適正に行われていれば何の問題もありません。

 また、様々な手数料が販売手数料または取次店手数料として会社の収入になることがあります。これらも手数料収入とする根拠が契約で定められ、かつ正しく計上処理されていれば問題はありません。

 なお、これらの手数料収入は不動産会社の収入です。従業員が自分の懐に直接入れると勤め先から横領と見做されても仕方ありません。横領行為であると言えない場合でも、重大なコンプライアンス違反とされることは間違いありません。

 A社の部長はB社に不動産を安く提供したとのことですが、本来の価格よりも安く売られたことにより財産上の損失を被った売主がいらっしゃることが危惧されます。

 つまり、売却依頼を受けたにもかかわらず意図的に販売活動を長期間行わず「長期間販売活動をしても売れないので価格を下げましょう」などと告げて売却価格を大幅に下げさせるとか、本来の相場よりもかなり安い金額を売主に提示して極めて安く売らせる等の不正な方法で不動産を売却された被害者がいるのではないかという懸念があります。このようなことが起きていたのであれば、重大なコンプライアンス違反です。

 過去に投稿しましたが、大手売買不動産会社の営業担当はノルマが厳しく、互いに競わされています。多くの場合、職場環境が良いとは言えません。

 長い間に「手段を問わず、カネを多く稼ぐ者が優秀である。」といった思想に染まり、やがて善悪の区別がつかなくなった者が今回のような事件を起こすものと思われます。

 事件の背景にあるのは「歩合制給与」であると考えられます。