オーナー様が滞納家賃を督促する際に、やってはいけないこと

新型コロナウイルスによる感染がなかなか収束しません。ほとんどの業界において景況感が極めて悪化しており、企業の倒産や廃業が多数発生しています。倒産や廃業に至っていない企業でも従業員の賃金カットや解雇が行われ、賃貸マンションやアパートの家賃を滞納する賃借人が徐々に増えています。

家賃収入がなくなるオーナー様にとっては死活問題です。「何とか督促できないか。」とお考えになられた結果、強引な督促方法を行ってしまい、逆に訴えられて損害賠償を請求された事案が数多く発生しています。

収益用不動産の経営事業は、間借り角に差し掛かっているといえるかもしれません。

以下の督促方法は、絶対に行ってはいけません。
仮に行ってしまうと、賃借人から違法行為であるとして訴えられる、警察に通報される等のトラブルに発展することがあります。また、退去を求める裁判を提起する際に、極めて不利になります。

1.玄関や共用部分の掲示板に「○○さん、家賃が未納なので払ってください」等の張り紙をする

家賃の滞納に関する問題は、あくまでも貸主および借主の間における問題です。家賃を滞納している事実を第三者に知らせることにより滞納家賃の納付を迫ることは名誉毀損行為に該当する違法行為です。

2.早朝や深夜における訪問、または電話による督促

夜21時以降、朝8時迄の間における訪問、または電話による督促は違法です。

3.3名以上の人数で押しかけて督促する

威迫行為と見做されるため、違法とされています。

4.同じ日に何回も督促する

同じ日に訪問や電話による督促を何回も行うことは禁止されています。例えば朝昼晩に電話を3回かけて督促する行為等が該当します。メールやSNSによる督促も、頻度により違法と見做されます。

5.勤務先や学校へ督促の電話をしたり、訪問して督促する

家賃滞納の問題は、あくまでも貸主および借主の間における問題です。勤務先や学校に家賃滞納を知らせる行為であることから禁止されています。この行為は名誉毀損罪に該当することがあります。

6.連帯保証人以外の者に対する督促

連帯保証人ではない者に対する督促は、第三者に家賃滞納を知らせる行為であることから禁止されています。連帯保証人ではない親、兄弟、親戚等に対する督促は債務のない者に対する請求であり、違法です。

7.督促のために訪問した際に居座る行為や、電話による督促の際に電話を切らせない行為

賃借人から「退去して欲しい」と依頼されたのに退出しない行為は、刑法が定める不退去罪に該当します。後者は威迫を伴う行為であると見做されることから違法行為と見做されます。

8.居室に侵入し、賃料の支払を催促する書類を置く

許可を得ず、かつ正当事由がないにもかかわらず賃借人の部屋に侵入する行為は、住居侵入罪に該当します。賃借人に督促状を渡す目的があっても、この目的だけでは入室できる正当な理由にはなりません。

9.不在の間に鍵を交換する行為

「賃料の支払が確認されるまで入室させない」ということなのでしょうが、賃借人の部屋を開錠する行為自体が住居侵入罪に該当し、違法です(開錠は部屋に侵入する行為と同じ)。この行為は自力救済行為と見做されます。

10.不在の間に家財道具を室外に搬出する行為

許可を得ず、かつ正当事由がない場合に賃借人の部屋に侵入する行為なので住居侵入罪になります。家財を勝手に搬出する行為は窃盗罪に問われます。これも自力救済行為であると見做されます。

11.第三者に取り立てを依頼する行為

管理を委託されていない不動産会社の担当者が督促目的で訪問することがあります。不動産会社はオーナーから「退去させることが出来たら管理を任せる」などと言われていることが多いです。
(請け負う不動産会社はどうかしていると思うのですが...)

弁護士以外の者に賃料の督促を行わせる行為は非弁行為であり、違法です。

12.いわゆる「追い出し屋」を利用した脅迫や暴力行為による督促

利用したオーナーも罪に問われます。また、「追い出し屋」は反社会的勢力と繋がっていることが多いので、絶対に利用してはいけません。