家のカギ(スマートロック)がサービス終了で物議

ITmedia NEWSの記事から引用します。

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家のカギが「サービス終了」で物議 その後の対応は? スマートロックのQrioに聞く
2023年05月17日 13時00分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 「誠に勝手ながら、サービスを終了させていただくことになりました」──ソニー子会社のIoTベンチャー・Qrio(キュリオ) が5月8日に発表したスマートキー「Q-SL1」のサービス終了が物議を醸している。「IoT機器は事業者の都合で使えなくなる」というリスクが顕在化したからだ。

 同社が展開するQrio Smart Lockは、玄関のサムターン(指でつまんで回す鍵)に被せるように装着し、スマートフォンやタブレットに専用アプリを入れるとBluetooth経由で遠隔操作できるスマートロック。ユーザーは物理的なカギを持ち歩く必要がなくなり、カギの開閉作業もいらない。アプリ上で電子カギを発行し、家族や親戚などにシェアする機能もある。

 Q-SL1は2015年に発売し、18年に後継機種「Q-SL2」が登場するまで同社の主力商品だった。しかしQrioは「最終出荷より5年が経過し、買い切り型商品のためサービスの維持が難しくなってきております」としてサービス終了を決めた。

 発表によると7月31日以降はアプリの新規インストールができなくなり、10月31日にサービスを終了する。サーバとのやり取りが発生しないBluetooth経由の施錠/解錠はすぐに動作しなくなるわけではないが、アカウント認証情報の更新や共有カギの発行などはできなくなる。

 しかし出荷が終わっても在庫があれば販売店は売る。例えばAmazon.co.jpでは発表から3日が経過した5月11日時点でQ-SL1を販売していた(サービス終了の発表後は注釈を入れていた)。仮に春の新生活シーズンにQ-SL1を購入した人がいれば、わずか1カ月でサービス終了を通知されたことになる。

 さらに製品のサポート窓口もサービス停止と同時に終了するという。もし後でサービス終了に気づいた人がいたら、どこに連絡したら良いのか。

~以下、略~

ITmedia NEWS

 この商品は、玄関扉のサムターンに装着しておくことによりスマートホンで玄関カギの開閉ができるというものです。一般の住宅に普及し始めており、賃貸アパート・マンションなどの収益用不動産にもこれを取り付けているところがあります。

 スマートロックはIoT機器であり、クライアント機能が組み込まれています。この機器はメーカーが管理するサーバーの存在を前提としています。

 コンピューター機器であり、サーバーおよびクライアントのOSにセキュリティーホールが見つかった場合にはハッカーがこれを利用して解錠することが想定されます。メーカーとしては、セキュリティーホールが存在する機器を放置して事故が発生した際に責任を取れないので、サービスの停止を考えるのは仕方ないかもしれません。

 パソコンや携帯電話であれば数年程度で機器を更新する方が大半であると思います。しかし、スマートロックはパソコンではなく住宅用部材と考える方が大半であると思われます。住宅用部材であれば長期間の耐久性が保証されていることが期待されます。

 例えば電動シャッター、給湯器等が数年未満で壊れるのでは商品として成立しません。しかし、10年もしないうちに故障以外の原因で機器を利用できなくなるので物議を醸したものと考えられます。

販売方法を間違えた?

 住宅用警備システムと同様に、利用料を毎月徴収するシステムにしなかったことが不評の原因であると思います。「機器を買い取ってもらい、毎月の費用負担はなし」にすれば数多く売れると考えたのでしょうが、これでは失策と言われても仕方ないと思います。

 また、製造を打ち切って5年も経過しているのに流通在庫品が現在も売られているのもおかしな話です。セキュリティーに問題があるなら流通在庫を直ちに回収し、交換するべきでした。ユーザーの多くは「『将来、問題が起きるかもしれない』という程度の認識でサービスを停止し、新しい製品を購入させようとしている。」と感じたのではないかと思います。

 消費者の信用を大きく損なったことは間違いありません。