困った相談(その18、一括査定サイトの査定額に基づく売却相談)

 不動産を売却する際には必ず査定を行います。査定結果は不動産会社または不動産鑑定士によりまちまちなのが実情です。

 便利なサイトであるとしてWEB広告やテレビCMなどでよく紹介されるのは「一括査定サイト」です。この一括査定サイトですが、査定の申し込みをするとサイトの運営会社に登録している不動産会社に連絡が届き、複数の会社が机上査定を行い、申し込みをされた方に連絡するシステムになっています。

 ところが、一括査定サイトでは売主様を誘引するためにありえないレベルの高額な査定結果を提示されることがとても多いです。私に自宅の売却を依頼したお客様が一括査定サイトに査定を依頼したところ、最も高額な査定結果は市場流通価格(いわゆる相場)の4割増であったことがあります。

一括査定サイトの査定を盲信すると大損をすることがある

 悪徳不動産会社 (または質の良くない営業担当者) は「一番高い金額の査定をすればお客様が自社に売却を依頼してくれる」と考え、あり得ない査定結果を意図的に提示することが非常に多いです。市場流通価格よりも非常に高額な値付けをされるとその結果に満足し、騙されてこの悪徳不動産会社(または質の良くない営業担当者)に売却依頼をする方が大変に多いです。

 売却依頼をしても、価格が異様に高額であれば買主は見つかりません。しばらくしてから「値下げをしましょう」と言われます。値下げ要請は1回で終わることはなく、ドンドン値下げされます。

 悪徳不動産会社 (または質の良くない営業担当者) は、後述する安値での両手取引に持ち込むことを最初から考えているため、ろくな売却活動を行いません。「ドンドン宣伝して欲しい」と依頼してもレインズにすら掲載しないことがよくあります。

 値下げを何回も繰り返し、市場流通価格よりかなり安く売却することに同意させたところで最終的には建売住宅の建設業者等に安値(市場流通価格の2割引が多い)で売却することを勧めます。悪徳不動産会社(または質の良くない営業担当者)は、売主および建設業者の両方から仲介手数料を得る、いわゆる両手取引を最初から狙っています。

 相場より高値、または相場通りの価格設定をして片手取引にするよりも、価格を市場流通価格の2割引にして両手取引に持ち込むことにより多くの仲介手数料を得ることが出来るからです。

 一括査定サイトにおける最も高い査定結果を盲信した結果、大損をする方はとても多いです。

一括査定サイトの査定結果を盲信されても...

 売却の相談を受けて市場流通価格通りの査定結果を示すと、「一括査定サイトにおける査定結果はお宅の査定結果よりも遥かに高い。お宅の査定はオカシイ。騙そうとしているんだろう。」等と言ってお帰りになる方がたまにいらっしゃいます。

 現状の一括査定サイトは社会悪であると考えています。ネットを利用した机上査定は不正確です。しかし、高額な査定結果を提示されると舞い上がり、最も高額な査定価格を提示した不動産会社に売却を依頼する方がとても多いです。

 特に査定した不動産会社が大手であると、一括査定の結果を盲信しやすいです。大手でも多くの不動産会社を渡り歩いている質が良くない営業担当者がいて、「当該営業担当者の独断」で異様に高額な査定結果を提示することがよくあります。

 一括査定サイトの査定結果における最も高額な査定価格を基準とし、その価格より高額な価格での売却を相談されることがあります。中には「一括査定の査定結果ではあるが、大手の○○不動産が提示した査定結果だから間違いない。」と言い張る方がいます。その価格が市場流通価格よりも異様に高額であることを説明しても聞く耳を持たない方がとても多いです。

  一括査定サイトにおける最も高額な査定結果を基準とした売却の相談は、査定方法も査定結果もいい加減で全く信用できないことから説明しなければなりません。「困った相談」と言えます。