ウクライナ情勢がこれ以上悪化すると日本の不動産にも大きな影響

 報道によると、ロシアがウクライナにある原子力発電所を攻撃したとのことです。チェルノブイリ発電所の約10倍の規模を有する発電所であり、ここが大きく破壊された際にはヨーロッパ全体が放射能で大規模に汚染される恐れがあります。

 幸い大きな放射能漏れは起きていないとの報道がありますが、ロシアおよびウクライナに期待されていた停戦交渉は暗礁に乗り上げ、戦闘が長期化することは確実です。日本の株価も急落し、3月4日の日経平均終値は2万6千円を下回りました。

 今後、何が起きても不思議ではない状況に陥っています。ロシアがウクライナ以外の第三国に侵攻するかもしれないとか、戦術核を使用するかもしれないとする記事が散見されるようになっています。

 核が使用されれば、確実に第三次世界大戦が勃発します。そのようにならないことを願っています。

 日本航空および全日空のいずれも日本・ヨーロッパ便の運行をロシア経由からアラスカ・北極圏経由に変更しています。ロシア上空の通過を避けることにしたとのことです。

 世界情勢はキューバ危機の際よりも緊迫しており、今後は原油価格の高騰が避けられません。すると建築資材の価格も急騰します。コロナ禍が終息していないのにダブルパンチと言える状況です。

今後の不動産動向
 建築資材の価格が急騰していることから新築物件の価格は間違いなく上昇します。

 コロナ禍が長期化したことから、1棟ものの賃貸アパート・マンションなどの収益用不動産を除き、不動産の購入を希望する方が激減しました。このため、マンションディベロッパーおよびパワービルダーは新築物件の建設を抑制しています。新築物件の数は大幅に減り、なかなか増えないと思われますので、販売される際の価格は極めて高額になることが避けられません。 

 このため、今後は中古物件(戸建住宅、区分マンション)に対する引き合いが増えると考えられます。これまで、都内で住宅を購入する個人の約8割は新築の住宅(戸建住宅、マンション)を選択していましたが、今後は物件価格が高額な上に物件の数がとても少ないことから中古物件を探す方が増えることが確実です。

 しかし、旧耐震の区分マンションに対する需要はあまり伸びないと思われます。その理由は旧耐震のマンションは建築後40年以上を経過しており、特に耐震補強工事をしていない物件では強度が劣化していることが挙げられます。さらにキッチンが狭い物件が多い等、使い勝手が良くないことが挙げられます。

 土地価格は二極化すると思われます。東京都の場合、山手線の内側にある土地、都区内のマンション用地、駅に近い土地の価格は上昇し続けると思われますが、それ以外は現状維持か、エリアにより価格が下がる可能性があります。諸物価が高騰すると不景気になり住宅の購入意欲が減退するので、特に個人向けの戸建住宅用地に対する需要が低下するからです。

 なお、ロシアがウクライナ以外の第三国に侵攻した、ウクライナに核攻撃を行った等の場合は世界情勢が激変します。この場合は、ここに書いた内容はいずれも当てはまらなくなります。