投資用物件の購入にフラット35を利用すると身の破滅

毎日放送のWEBサイトから引用します。

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住宅ローン4000万円の『一括返済』を求められ絶望…「投資用物件とフラット35」で相次ぐトラブル 勧めた不動産会社Xに取材を申し込むと
23/02/16 15:00

 投資を考える人たちに近づく悪徳業者の誘いの手口、自己破産した人もいるという危険な不動産投資の実態とは。今、住宅金融支援機構の住宅ローン『フラット35』を不正利用させられ、機構からローンの一括返済を求められるトラブルが全国で相次いでいる。

 大阪市に住む会社員のAさん(48)。4年前、約76平方メートルの土地と2階建てのアパートを、賃貸に出す目的で約3400万円で購入した。
 部屋の中に入ってみると、テーブルやイスなどの家具は一切ない。なんとこのアパートは着工から4年がたった今も完成していないのだ。

 (Aさん)
 「水道ガスが通っていなくて、電気は今は止めている状態になります。わかってはいますけど、このがらんどうの部屋ですね、なんか見ていてちょっとむなしいなという気持ちはありますね」

 工事が止まったのは着工から半年後。ローンを利用した住宅金融支援機構から一通の書類が送られてきたことがきっかけだった。

 【住宅金融支援機構の通知書より】
 『全額を直ちに当機構にお支払ください。お支払がご無理な場合はやむを得ず法的手続きを執ることになります』
 Aさんが利用したのは、最長35年間固定金利の住宅ローン「フラット35」。
 Aさんは賃貸に出す目的でアパートを建てたが、実はこのローンは投資用の物件には利用できない。このため機構は不正利用と認定して、ローンの元金約3000万円の一括返済を求めたのだ。

~略~

Bさんは不動産会社から勧められ「フラット35」を利用

 同様の被害は各地で相次いでいる。栃木県の会社員・Bさん(35)も、住宅金融支援機構からローンの一括返済を求められている1人だ。

 (Bさん)
 「約4000万円ですので、そういった大きな負債を抱えてしまったという、ちょっと絶望感みたいなところがありましたね」
 Bさんは神奈川県のマンションの一室(約41平方メートル・2DK)を約4700万円で購入。マンションは賃貸に出す予定だったが、東京の不動産会社Xにフラット35の利用を勧められた。
 ローン審査の直前、X社からある指示があったという。

 (Bさん)
 「金融機関との面談をする際に、『この物件に住みますか?という居住確認の面談があります』というようなことを事前に言われました。その質問に対して私は『はい』と答えてくださいと」

 違和感を覚えたBさん。指示を断るとどうなるか聞いてみると…。

 (Bさん)
 「(審査が通らなくても)不動産売買契約は完了していると。物件価格の約20%の違約金がかかると。20%だと約800万円になるんですかね、その金額がやはり当時とても支払えるものではなかったので」

~略~

不動産会社X社に取材を申し込むと

 X社は違法性を認識しながらフラット35を勧めたのではないか。取材班がX社に電話で取材を申し込むと…。

 (記者)「投資用ではフラット35が使えないということをわかっていて勧めたのでしょうか?」
 (X社)「私、電話番なので、確認します一度」
 (記者)「では折り返しの電話をいただけますか?」
 (X社)「折り返しするかは答えられない」
 (記者)「X社の社員ですか?」
 (X社)「電話番なので、何もこの場でお答えすることができないので、一言一句そのままお伝えするだけなので」

 電話番の男性は「答えられない」の一点張り。その後、X社から連絡はなかった。

~略~

39人が住宅金融支援機構を集団提訴

 追い詰められた被害者たちは司法の場に救いを求めた。去年12月、住宅金融支援機構に対して「融資のチェックがずさん」などとして、ローン一括返済の無効を求めて、全国の被害者39人が東京地裁に集団提訴した。

~略~

 将来の蓄えのための不動産投資がトラブルに一転した。だまされた人が悪いという言葉だけで済まされないのではないだろうか。

毎日放送(MBS)

 このブログでは、収益用不動産の購入に際してはフラット35を利用できないこと、利用した場合には購入者が詐欺罪に問われる恐れがあること、一括返済が出来ない場合には不動産を取り上げられるだけで済まず、多額の借金が残り、人生が破滅することを繰り返し述べています。

 未だに被害者が増えているようであり、困ったものです。真っ当な営業をしている不動産会社から見た場合、収益用不動産の購入に際しフラット35の利用を薦める不動産会社は悪徳業者の最たるものであり、不動産業に対する信頼を大きく損なうものなので厳罰に処して欲しいと思います。

 しかし、現行法において悪徳不動産会社の処罰を求めるためには買主が証拠を揃えなければならず、莫大な労力が必要です。弁護士に依頼するとしても多額の費用が発生します。

 それに悪徳不動産会社の責任を追及するとしても、住宅金融支援機構が買主に求める「一括返済」を免れることはできません。悪徳不動産会社に損害賠償を請求したくても経営者が会社を解散し、海外に逃亡すれば損害賠償の請求は事実上不可能です。

 法律論としては詐欺行為の被害者は住宅金融支援機構であり、悪徳不動産会社の協力により買主が住宅金融支援機構に対する詐欺行為を行ったと評価されます。買主にとっては辛い状況ですが「買主には全く落ち度がない」と主張するには無理があると思います。 

 収益用不動産を購入する際には真面目な営業を行っている不動産会社、特に不動産売買を専門としており、かつある程度長く営業している会社を通じて購入することを強くお勧めします。