1棟ものの賃貸アパート、賃貸マンションの中古売物件が激減

※本日の投稿は、主に東京、川崎、横浜の市街地において該当する内容です。他のエリアでは該当しない部分があるかもしれません。

 1棟ものの賃貸アパート、賃貸マンションの購入を検討しているお客様から「新築物件は数多くあるが、利回りが良好な中古物件に関する物件情報が異様に少ない。何が起きているのか。」という質問を受けることが増えています。

 原因は、物件価格が異様に高騰し、利回りが良好な物件が激減したからです。数年前迄は、市場に流通する収益用不動産の価格を「実質利回り6.5%」になるように設定していました。表面利回りは8~9%になります。

 この利回りを下回る収益用不動産を購入する方は、駅近の物件でなければほとんどいない状況でした。ところが、「老後には2000万円が必要」というフレーズの一人歩きにより、状況は一変しました。

 賃貸住宅経営を副業にしたいと考える方が激増し、1棟ものの賃貸アパートおよび賃貸マンションに対する需要が急増したのです。

 需要の増え方は異様であり、実質利回りが5%、あるいは4%台の物件でも売れる状況になりました。当然ですが、売主様は強気になり、「安売り」をしなくなりました。

 現在は、実質利回りが2~2.5%程度の物件が激増しています。それでも売れており、異様です。もはや、数年前に運用されていた「実質利回り6.5%」を基準として販売価格を設定する物件はほとんど存在しなくなりました。

 賃貸アパートマンションなどの収益用不動産を数年以上前から運用しているオーナー様においては、所有する物件を高く売却出来るようになりました。実質利回り6.5%を想定した価格で購入した物件が実質利回り2~2.5%を想定した価格で売れるので、物件により購入価格の倍以上の価格で売れるようになりました。

 ところが、大きな問題が発生しました。所有している物件を売却し、自己資金を少し足した上でグレードの高い収益用不動産を購入しようとしても、数年以上前には数多くあった高利回りの物件がほとんどなくなってしまったのです。

 買い替えると利回りが著しく低下するので、収益用不動産の買い替え需要は激減しました。「買い替えず、現在所有している収益用不動産を運用する方が得である」という状況なので、収益用不動産を売却して買い替える方はほとんどいなくなりました。

 このため、利回りが良好な中古の賃貸アパート・マンションの売物件は消滅しました。「老後には2000万円が必要」というフレーズの一人歩きが原因の一つです。

低利回りの収益用不動産しかない状況はいつまで続くか
 賃貸住宅経営に対するブームが収まるまで続くと思われます。おそらく2~3年程度先でしょう。

 現在は利回りが低い物件しか販売されていません。実質利回り2~2.5%の賃貸住宅を運営するよりも、株式や債権に投資する方が有利であることから、賃貸住宅経営を始めようとする方は次第に減ることが予想されます。

 需要があるから高値、すなわち低利回りでも売れる状況でしたが、今後は低利回りの物件は次第に売れなくなると思います。

 さらに、コロナ禍であることから外国の投資家が収益用不動産の購入目的で来日することが困難な状況です。これとは別に、中国では政策として自国民のアメリカおよび日本への渡航を制限する動きがあります。つまり、外国人による購入需要もなくなりつつあります。

 収益用不動産の購入ブームはあと2~3年程度続くと思いますが、その後は次第に下火になるのではないでしょうか。そのようになれば、少しずつ高利回りの収益用不動産が販売されるようになると思います。