不動産会社に賃借人募集を依頼する際は、特定の会社に依頼するべきか(オーナー様向け)

 1棟ものの賃貸アパートまたは賃貸マンションを所有しているオーナー様におかれては、管理を不動産会社に依頼されている方が多いと思います。賃貸募集を含め、管理全般を不動産会社に委託している場合は、その不動産会社に賃借人募集を依頼することになります。依頼を受けた不動産会社は「専任媒介契約」を締結し、賃借人を募集します。

 しかし、「賃借人募集に関する事務については管理の内容に含めない」として不動産会社および管理会社に管理を委託するオーナー様がいらっしゃいます。このようなオーナー様は、空室が発生する度に数多くの不動産会社に個別に賃借人募集の依頼をしています。

 また、お気に入りの不動産会社があるオーナー様がいらっしゃいます。このようなオーナー様におかれては、常に特定の不動産会社に対し、専任媒介による賃借人募集を依頼されています。

 賃借人の募集方法として、以下の二つのうち、どちらが良いかについてオーナー様から質問されることがあります。
1.特定の不動産会社に専任媒介による客付けを依頼する。
2.複数の不動産会社に一般媒介による客付けを依頼する。

 どちらが良いかについては一概に言えません。ただし、複数の不動産会社に同時に客付けを依頼する場合、多くても3~4社に限定することをお勧めします。以下、メリットおよびデメリットについて書きます。

1.特定の不動産会社に専任媒介による客付けを依頼する場合のメリットおよびデメリット
【メリット】
・不動産会社が物件情報、間取り図等を保管していることが多いので、案内図面を早期に作成して貰えることが多い。
・インターネット広告および紙広告における広告代をサービスしてくれることが多い。
・募集状況、お客さまからの問合せ状況について、定期的に報告を貰える(専任媒介の場合における報告義務を、宅地建物取引業法が規定している)。
・オーナー様に物件確認(現在も賃借人募集中か)の電話が頻繁にかかることはない。

【デメリット】
・質の良くない営業担当が担当者になると、いわゆる「囲い込み」をされ、入居者がなかなか決まらないことにつながることがある。
・複数の不動産会社に依頼する場合よりも、お客様の反響が少ない。

2.複数の不動産会社に、一般媒介による客付けを依頼する場合のメリットおよびデメリット
【メリット】
・各不動産会社が一斉にポータルサイト等に掲出するので、多くの人の目につく。
・お客様からの反響は、特定の不動産会社に客付けを依頼する場合より多い。
・設定する家賃、共益費の金額について、いわゆるセカンドオピニオンとして複数の不動産会社に確認することが可能になる。
・同じグレードのお部屋が多数存在するエリアでは、なるべく多くの人の目につくことが早い入居者決定につながるので、早期の入居者決定につながる。

【デメリット】
・紙広告の作成を依頼した場合、大半の場合において実費を請求される。
・インターネットポータルサイトに、同一物件に関する広告が数多く掲載されることがあり、お客様が好印象を持たなくなる恐れがある(何らかの問題があるから広告が多いと思われる)。
・一般媒介による客付けを複数の不動産会社に依頼した場合、不動産会社には募集状況、およびお客さまからの反響を定期的に報告する義務はないので、オーナー側から定期的に状況の報告を求める必要がある。
・オーナー様に対し、多くの不動産会社から物件確認(現在も賃借人募集中か)の電話が頻繁にある。