免許番号におけるカッコ内の値が大きい不動産会社は経験豊富か

私の会社の宅地建物取引業免許番号は「東京都知事(3)第88250号」です。括弧内の数字は宅地建物取引業免許の免許更新回数、正確には免許申請書を提出した回数を表します。

宅地建物取引業免許は、5年毎の更新が必要です。なお、1995年以前は、3年毎の更新が必要でした。
括弧内の数が1の不動産会社は、免許を受けてから5年未満、2の会社は5年以上10年未満、3の会社は10年以上15年未満となります。

不動産の解説書や不動産に関する記事を掲載したWEBサイトには、「この括弧内の数が大きい不動産会社であれば、長く営業しているので安心である。」とするものが多くあります。

しかし、私が知っている不動産会社の中には、括弧内の数が10を超えているのに、社長以下営業担当迄の全員が宅地建物取引業に携わってから5年未満のところがあります。

何故そのようなことが起こるかですが、不動産会社は法人であり、従事する人が変わることがあるからです。会社が設立されてからは長年が経過しているとしても、法人自体が売却された際に、外部の第三者が社長になることがあります。

また、括弧内の数が10以上で長年営業していた年老いた社長が勇退する際に、不動産業未経験の孫に後を継がせて社長にすることがあります。そして新社長が経験の浅い営業担当を入社させることがあります。この様な不動産会社では従事者全員が宅地建物取引業に関する経験があまりなくても、括弧内の数が10を超えた状態のままで宅地建物取引業を営業できます。

また、括弧内の数が1または2であっても、経験豊富な会社があります。都内で20年近く営業していた(4)の会社が神奈川県や埼玉県に支店を設けた場合、免許証の発行主体は都道府県知事ではなく、国土交通大臣になります。これを「免許換え」と言います。この場合は「東京都知事(4)第○○○○○○号」から「大臣(1)第△△△△△号」になります。

これとは逆に、都内と神奈川県で25年弱営業していた「大臣(5)第○○○○号」の会社が神奈川県内の支店を閉店し、都内の本店のみで営業することにした場合、東京都知事免許に免許換えとなります。この場合は「大臣(5)第○○○○号」から東京都知事(1)第△△△△△△号」に変わります。営業開始から25年弱を経過している会社でも(1)に変わることがあります。

不動産会社が経験豊富であることと、免許番号における括弧内の数とは必ずしも一致しません。売買、賃貸を問わず、依頼する不動産会社を決める際は括弧内の数で決めるべきではなく、依頼したい内容を専門分野とする不動産会社に依頼することをお勧めします。