紙媒体の不動産販売広告について(不動産売買)

前回までの投稿では収益用不動産を購入する際の注意点を述べてきました。4回で終わらせる予定でしたが、9回迄続けさせていただきました。

本日は、インターネット広告ではない、紙媒体の不動産販売広告について書きます。具体的には、新聞折り込み広告、郵便受けに投函される広告、街頭配布チラシ、電柱広告です。

これらの広告には、販売中の物件について記載した広告と、購入希望者の存在を知らせる広告とがあります。
前者はその広告を作成している不動産会社において販売中の物件一覧、または特定の1~4物件程度を紹介する広告です。
後者は、「○○区内において、以下の予算で土地を探されておられるお客様がいらっしゃいます。」等のキャッチコピーを記載した広告です。

販売中の物件を記載した広告(新聞折り込み広告、郵便受けに投函される広告)

販売中の物件に関する広告については、不動産公正取引協議会(後述)が掲載基準を定めており、これに違反した内容の広告が配布されていないかに関する点検・調査・指導をしています。情状が重い場合は、広告を配布した不動産会社に違約金を課します。

宅建協会や不動産協会でも、誇大広告や架空の物件に関する広告の作成や配布を行わないように指導しています。このため、最近では、誇大広告や架空の物件、事実とは異なる内容を記載した広告は徐々に減っています。

しかし、質が良くない営業担当は、優良な物件であると誤認させる誇大広告や、架空の物件を掲載した広告を独断で作成して配布することがあります。ノルマに追われているために「すぐにはバレないだろう」と考えて、このような行動をする者がたまにいます。大手の不動産会社の営業担当でも例外ではありません。

広告を見たお客様から不動産会社に電話をさせ、広告掲載の物件は既に売れたことにして他の物件を紹介するのが常套手段です。販売中の物件を記載した紙媒体の広告を全面的に信用することは危険なので、注意が必要です。

ちなみに、会社所在地が記載されていない広告、および電話番号のみが記載されている広告が、現在も散見されます。これらは広告の掲載基準を遵守していませんので一切信用するべきではありません。

購入希望者の存在を知らせる広告(新聞折り込み広告、郵便受けに投函される広告)

この種の広告に対する掲載基準は定められておらず、実際には存在していないお客様を記載している場合でも、不動産公正取引協議会が介入したり違約金を課すことはありません。よって、買い希望者に関する内容を記載した紙の広告は、一切信用するべきではありません。大手不動産会社の広告でも同様です。

街頭配布チラシ、電柱広告

問題なのは、駅前や繁華街の街頭で配布される紙のチラシと電柱広告です。後者は、数枚前後の物件紹介資料を封筒に入れ、封筒を電柱に貼り付けるパターンが多いです。

街頭で紙の物件紹介チラシを配布したり、電柱に広告を貼り出した場合にはそこら中に捨てられるため、道路がゴミだらけになります。配り終えた際に、清掃することはありません。
広告が行き渡ればそれでOK、後は知らないという態度であり、悪質です。

不動産の売主、および元付業者の大半は、紙の不動産広告を駅前等で配布する行為や電柱に貼り出す行為を許可しません。駅前や繁華街で配布されるとゴミだらけになりますし、大半の自治体は条例で電柱広告を禁止しているからです。
街頭配布チラシおよび電柱広告の多くは、元付業者の許可を得ることなく作成され、配布されています。電柱広告は、営業担当の独断ではなく、会社の指示により貼り出すことが多いです。電柱広告に会社名が記載されている場合、その不動産会社の利用は避けるのが賢明です。

また、電柱広告の場合は連絡先の電話番号しか掲載されていないことが多くあります。おとり広告であることがよくありますので、一切信用するべきではありません。

不動産公正取引協議会について

全国には9つの不動産公正取引協議会が儲けられています。紙媒体だけではなく、アットホーム、ホームズ等のポータルサイトや各不動産会社におけるインターネット広告を常時チェックしています。契約済の物件を広告に掲載し続ける等のおとり広告、実際とは異なる内容を記載した違反広告(例えば異なる物件の間取り図を記載したり、カギの交換費用が必要なのに不要と記載する等)は摘発の対象であり、違約金の徴収対象になります。この違約金の金額はかなり高額です。