住宅ローンの申請時に「かきあげ」が発覚することがある

2021年5月15日

一昨日および昨日の投稿で「かきあげ」について書きましたが、本日は買主が質の良くない不動産営業担当から「かきあげ」を勧められた、あるいは買主が「かきあげ」を希望したことから金額の異なる売買契約書を作成し、住宅ローンの融資を受けるために金融機関に提出したらどうなるかについて書きます。

一昨日の投稿に書いた通り、「かきあげ」とは金額の異なる売買契約書を二通作成し、高い金額を記載した契約書を金融機関に提出して実際の取引金額より高い金額の融資を受け、売主とは記載金額が低い契約書を取り交わし、差額を買主が着服する手法を言います。

住宅ローン融資を受ける際には、金融機関に様々な書類を提出しますが、厳格なチェックを受けるのは収入証明書類です。

まず第一に雇用形態に関するチェックが行われます。提出された書類に大企業の正社員であると記載されていても、実際には非正規雇用者である場合は融資不可とされます。

次に、勤務年数やクレジットカードの利用履歴、自動車ローン等の他のローンの有無、カードローンやサラ金における貸出残高、クレジットカードや家賃の支払における滞納歴の有無が調査対象になります。

特にクレジットカードや家賃の支払いに滞納歴がある場合は、収入証明書に記載されている収入金額が虚偽でないかについて、徹底的に調査されることになります。

次に、購入する不動産の価格が正当な価格がチェックされます。物件の販売図面や概要書に記載されている物件の価格より高い金額が売買契約書に記載されていると、一発でアウトになります。

さらに、金融機関はレインズ(インターネットを利用した一種のポータルサイト、一般の方には非公開)を確認しています。不動産会社は物件情報をレインズに登録し、物件情報を交換しています。一般の方はレインズを参照できませんが、金融機関はレインズを参照することが認められています。

金融機関はレインズを参照し、不動産会社に配布される物件情報チラシを収集することにより不動産物件の販売価格をチェックしています。融資を受けたいとして提出された売買契約書に記載されている物件価格が、レインズに登録されている金額より高くないかを確認しています。契約書記載の金額がレインズに登録されている金額よりも高い場合は、融資不可になります。

「かきあげ」と見做され、融資不可とされた場合
「かきあげ」が行われている、またはその疑いがある場合は融資不可になりますが、融資を申請した方に融資不可とした理由を伝えることはありません。

問題は、金融機関が加盟している個人信用情報機関に融資不可の事実が登録されることです。その他、不正申請された疑いがある場合は、その旨に関する情報が融資の申請書を提出した金融機関において共有され、後日に他の物件に関する住宅ローン、その他のローンを申請しても門前払いをされる恐れがあります。

「かきあげ」は絶対にお勧めしません。「かきあげ」を勧める不動産会社からは不動産を購入しないことを強くお勧めします。