金額が異なる売買契約書を作成し、融資を受けると身の破滅(その2)
※昨日の続きです。
不動産会社における質が良くない営業担当者が、買主に「かきあげ」を提案することがあります。このブログでは過去に何回も書いていますが、営業担当者の給与に歩合制を採用し、厳しいノルマを課す不動産会社が多いことから、ノルマを達成しようとして違法行為を行う、質の良くない営業担当が散見されます。
例えば、頭金が少ないお客様にフルローンを組ませるために「かきあげ」を行い、実際の取引金額よりも高い金額を記載した契約書を作成して金融機関に提出する不動産会社の営業担当がいます。
不動産会社の営業担当者から「かきあげ」を行う提案を受けた場合、その不動産会社は利用するべきではありません。明らかに遵法精神に問題がある会社であり、不動産の購入後に何らかのトラブルが発生しても責任を一切取らない会社であることが多いからです。
さらに酷い例ですが、多重債務者に対し区分の収益物件(ワンルームの区分マンション等)を購入させ、その際に金額の異なる契約書を作成する「かきあげ」を行い、差額を多重債務の返済に充当させる営業担当がいます。
「差額を債務返済に充当出来ることから借金の総額が減るので毎月の返済額が減る。さらに家賃で債務を返済できる」等と口コミなどで宣伝し、収益用不動産の購入を迫る輩がいます。
彼らは「かきあげ」を行うだけではなく、金融機関に提出する収入証明書類等も偽造します。私文書偽造に対する罪の意識はほとんどないのでしょう。
不動産会社の担当者からこのような提案を受けたら、お断りすることを強くお勧めします。何時の日かわかりませんが、確実に「かきあげ」が発覚し、買主は一括返済を求められます。
一括返済を求められても、ほとんどの買主は返済できません。競売や任意売却により不動産を安値で売却することを迫られ、足りない部分は借金として残ります。そればかりか、金融機関が被害届を警察署に提出して立件された場合は買主は詐欺罪に問われ、罰金刑又は懲役刑が科されます。
2~3年前までは、「かきあげ」が行われても金融機関は大目に見ていました。このため「『かきあげ』を一回くらい行っても大目に見てくれるだろう」と安易に考え、顧客に「かきあげ」を勧める営業担当がまだ多くいます。しかし、大目に見てくれたのは過去の話です。
特にスルガ銀行を舞台とした「かぼちゃの馬車事件」が発生してから金融機関の態度は一変しました。この事件では銀行における融資の担当者も貸付件数および貸付金額に対するノルマが課されていたことから、融資の担当者が「かきあげ」であることを知っていても金銭消費貸借契約を成立させていたとのことです。
「かきあげ」による融資を受けて不動産を購入した買主は不動産を取り上げられた上に破産に追い込まれ、銀行は巨額の損失を抱えることになりました。この事件により、国は金融機関が行う融資を厳しく監視するようになりました。
現在、金融機関は違法行為に厳しく対応します。「かきあげ」が発覚した場合、金融機関は容赦なく一括返済を求めます。
「かきあげ」を行う、または行ってもらうことで良いことは何一つありません。不動産会社の営業から勧められたことから「かきあげ」を行ってもらった場合でも、金融機関は容赦してくれません。
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