店頭に不動産物件情報を貼り出さない不動産店が増えている

最近、不動産会社の店頭に不動産広告を一切張り出さないところが増えています。

私の店の店頭にも不動産物件情報を掲出するための掲示板があります。畳一枚分以上の大きい掲示板で、内部に照明も付いています。以前は不動産物件情報を目一杯に貼り出していましたが、最近は売主募集とか休業日のお知らせしか貼らないことにしています。

理由は、いわゆる不動産ポータルサイトの台頭とスマートホンの普及です。店頭に不動産物件情報を貼り出すと、その図面をスマートホンで写真撮影し、店に入らずお帰りになります。撮影した図面をネットで検索し、その物件がネットに掲載されている場合には、物元である専任媒介の会社か売主である不動産会社を探し、そちらに行ってしまうのです。これでは何のために広告を店頭に貼り出しているのかわかりません。

当店しか扱っていない、未公開の物件情報を店頭に貼り出した事があります。この店頭広告をご覧になられたお客様が入店し、この物件の情報が欲しいと言われました。広告図面をお渡ししたのですが、翌日、何故か大手の不動産会社から物件確認の問合せが来たのです。

この物件は未公開であり、当社しか扱っていません。それなのに、どうして物件確認するのかを尋ねると、どうやら昨日来店されたお客様が、私が渡した広告図面をそのままその大手不動産会社に持ち込み、交渉するように依頼したようなのです。エチケットとして、ある店から物件情報をもらった場合には、もらった店に仲介を依頼するべきであると思うのですが、油断もスキもありません。

賃貸物件の仲介会社の場合は、事情が異なるようです。大半のオーナー様は広告を多く出すことを希望されており、新しい入居者を早く決めて欲しいと思っています。賃貸物件相互の競争が熾烈なこともあり、店頭に広告を貼り出さないとオーナー様からクレームが入ることから、仕方なく物件広告を店頭に貼り出しているお店もあります。

しかし、賃貸の仲介専門店も、店頭に貼り出す物件広告の枚数は徐々に減っています。最近のお客様の多くは、物件情報を予めインターネット検索した上で内見の申し込みをされることから、店頭に広告を貼り出す意味が薄れています。駅前で賃貸仲介を生業とする多くの不動産店が軒を連ねているエリアを除き、広告を貼り出さなくなっているか、貼り出す枚数を極力抑えているようです。