仲介手数料が無料または半額の不動産会社を利用することは得か(売買)

一つ前の投稿では、不動産会社に仲介手数料の値引きを要求するよりも価格交渉をしてもらう方が断然お得であることを書きました。

本日は、最初から仲介手数料が無料または半額であることを謳う不動産会社を利用することが得なのかについて書きます。

仲介手数料が無料、または半額の不動産会社で不動産を購入する場合

多くの不動産会社にとって、仲介手数料は「生活するための糧」です。霞を食べて生活することはできません。
仲介手数料を無料、または半額にする不動産会社は、本来は買主が支払うべき仲介手数料を売主からもらうことを前提としています。このため、紹介される物件はかなり限られます。

紹介を受けられる(推薦される)のは、主に以下の物件であることが多いです。

1.その不動産会社が売主、または売主の代理人である物件
2.不動産会社(宅地建物取引業者)が売主である物件で、仲介手数料の上乗せを承諾している物件
3.一般の方が売主の物件で、長期間売れないために仲介手数料の上乗せを承諾している物件

仲介手数料の上乗せは宅地建物取引業法に反し、違法(あくまでも受領することが違法)です。しかし、仲介手数料の他に販売手数料として3%程度を上乗せすることを承諾している物件があります。

例えば、新築物件(1年以内に販売しないと中古物件として売ることになる)の売れ残りで「新築」として売れる期限が迫っている物件とか、債務の早急な弁済が必要なために売り急いでいる物件です。
総じて「売れ残り」の物件が多い感があります。単に販売価格が高すぎたために売れ残っている物件であれば、市場価格程度まで値引きをしてもらうことによりお買い得になることがあります。しかし、必ずしもそのような物件ばかりではありません。

気に入った物件があり、その物件の抱える問題点および価格について納得した上で仲介手数料が無料、または半額の不動産会社で購入するというのであれば、それで構わないと思います。

しかし、あくまでも私見ですが、仲介手数料を出し惜しみすることにより、紹介を受けられる物件を自分の方から少なくしてしまうことが良いとは思えません、

仲介手数料が無料、または半額の不動産会社で不動産を売却する場合

売却先は、いわゆる不動産買い取り業者になりがちです。買い取り業者の決算期を除き、買い取り価格は相場よりも安くなります。市場価格と比較した場合、概ね1.5~2.5割は安くなると考えておく必要があります。

仲介手数料が無料、または半額の不動産会社におけるWEBサイトを見ると「広告費を大幅にカットする等の徹底的なコストダウン」を掲げているところが多いです。しかし、一般論として、ある程度の広告費をかけないと広告の効果はありません。必要以上の広告宣伝は必要ありません。しかし、インターネット広告の掲出先やチラシの配布枚数を少なくしすぎると、広告宣伝の効果は薄くなります。

このような不動産会社では広告宣伝をあまりしないので、売却の依頼をしてからかなりの期間が経過しても購入希望者が現れないことが多いです。しばらくした後に「この物件は売れないので買い取り業者に買ってもらいましょう。」などと言い、買い取り業者に売却するように迫ります。売却が成立すれば、不動産会社は買い取り業者から仲介手数料をもらえます。さらに買い取り業者に対し「この不動産を転売をする際には自社を専任媒介として指定して欲しい。」と依頼します。業界用語で「専任返し」といいます。この「専任返し」をしてくれる買い取り業者にのみ物件を紹介する不動産会社もあります。

専任返しを受けられれば、転売が成立した際の仲介手数料ももらえます。この方法により、売却希望者の仲介手数料を無料、または半額にしているわけです。

売り急ぐ等の理由により売却価格が安くなっても構わないのであれば、仲介手数料が無料または半額の不動産会社に売却依頼をしても構わないと思います。しかし、そのような事情がなければ、このような不動産会社に売却依頼をするのは避けた方が得だと思います(これも私見です)。

その他

仲介手数料が無料または半額を謳う不動産会社の全てが該当するわけではありませんが、経営状態が苦しいために仲介手数料を無料または半額にしているところがあります。
仲介手数料の値引きを始めてからしばらくした後に倒産している不動産会社は多いです。

利用を検討する際には、その不動産会社の経営状態について見極めておく必要があります。
特に契約成立後、引き渡しまでの間にその不動産会社が倒産したら、目も当てられません。