中古区分マンションを購入する際の重要事項説明における注意点

 中古区分マンションは、いわゆる共同住宅の一部を購入することなので、戸建住宅と比較すると制約を受ける内容が格段に多いです。

 以下に示す注意点の多くは重要説明を受ける前に確認できるものが多いです。可能であれば重要事項説明の前に確認することをお勧めします。

1.駐車場の利用権
 区分マンションの中には特定の部屋のみに便宜を与える物件があります。例えば敷地内の駐車場です。利用を希望する方の中から利用者を毎年抽選で選ぶところがあります。また、一部の部屋について、区分所有権の内容として駐車場を利用できないことを定めているマンションがあります。

 抽選に当選すれば駐車場を利用できると思って物件を購入したところ、管理組合から「あなたの○○号室は駐車所の利用に関する抽選を受ける権利がありません。利用しないことを前提とした分譲価格で販売された物件です。」と言われ、愕然とされる方がいらっしゃいます。

2.エレベーターの停止階
 停止階が定められているマンションがあります。例えば1階、3階、5階といった奇数階にしか止まらないマンションがあります。このようなマンションにおける4階または6階の物件を購入した方は、建物から出入りする度に必ず1階分の昇降を行う必要があります。

 このことを知らずにエレベーターが停止しない階の区分所有権を、エレベーターが停止する階であると誤認して購入すると後が大変です。物件を購入した後では取り返しが付きません。

 重要事項説明書には当然記載されていなければならないのですが、記載されていない場合があります。マンション区分所有権の売買に不慣れな不動産会社の中には、エレベーターの不停止階があるマンションの存在を知らないところがあります。このような記載漏れが原因で裁判沙汰になることがあります。

 買主が自ら内見を行うのであれば、内見の際に当該物件の階がエレベーターの不停止階であることに気付くと思います。しかし、代理人が内見を行った場合は見過ごされ、不停止階の物件であることを知らずに購入してしまうことがあります。買主は、重要事項説明の前に必ず確認することをお勧めします。

3.飼育可能なペットの種類
 ペット飼育細則などを定め、飼育可能なペットの種類、頭数を定めているところが大半です。小型の犬猫2頭までとか、1頭当たりの体重を定めているところがあります。また、動物が建物を出入りする際にはリードを利用し、廊下や階段を歩行させない(抱きかかえる)等を細かく定めているマンションがあります。

 爬虫類や蜘蛛については個体の大小にかかわらず、一律に禁止しているところが多いです。また、犬猫の飼育は認めているにもかかわらず、ウサギの飼育を不可(犬猫ではないからとして)としているところがあります。

 金魚、小鳥については飼育を認めるマンションがほとんどですが、オウムなどの大型の鳥の飼育を希望する際は管理組合または管理会社に確認することをお勧めします。

 飼育が禁止されているペットを飼育していることを他の入居者から指摘され、騒動になる事案が頻発しています。

4.管理体制
 管理人の勤務体制、業務内容は様々ですが、以下のいずれかに該当することが多いです。
 ●管理人の勤務体制:常駐、日勤、巡回のいずれか
 ●管理人の業務内容:清掃のみ、清掃と巡回、設備の点検・清掃と巡回、コンシェルジェサービスのいずれか

 その他に、管理会社に対する委託が全部委託、一部委託のいずれかが問題になります。全部委託の場合は管理費・修繕積立金の徴収、設備メンテナンスおよび法令点検、設備故障時における対応、管理組合総会資料の作成等の一切を管理会社が行います。

 一部委託の場合は、文字通り一部を管理会社が行い、その他を管理組合が行います。一部委託の場合、管理組合の理事および役員の負担が多くなります。

5.管理組合
 ほとんどのマンションが管理組合を結成しています。問題は理事および役員の選出方法です。

 立候補制にしているところがありますが、輪番制にしているところがあります。輪番制の場合、部屋の番号により理事や役員に就任する年度が定められていることが多いです。

 輪番制の場合、購入直後に理事や役員の就任要請がある場合があります。時間にゆとりがある方であれば問題ないと思いますが、忙しい方は不動産会社を通じて事前に確認しておく必要があります。

6.管理費、修繕積立金
 購入する区分所有権の売主が滞納している管理費および修繕積立金は、区分所有法により買主が負担しなければなりません。実務では決済の際に滞納額を売買代金から差し引くか、清算金として調整する扱いが行われます。

 滞納額の有無、滞納されている金額については不動産会社が必ず確認しますが、買主においても重要事項説明を受ける前に確認しておくことを強くお勧めします。

 また、マンション全体における修繕積立金の総額も確認が必要です。滞納する部屋が数多くあり、修繕積立金の滞納額が莫大な場合は、物件の購入後(多くは10年以内)に修繕積立金の大幅値上げを提案されることがあります。そのような状況に陥ることが容易に推察される場合は、当該物件の購入を控えるのが賢明かもしれません。