コロナ禍による空室増加、家賃値下げにお悩みのオーナー様へ

現状分析
 ご承知の通り、新型コロナウイルス感染症の拡大が止まりません。ワクチン接種が行われていますが、東京都内では感染者数は増える一方です。感染者が増加している原因は、デルタ株と言われる新しい変異株が拡大していることにあると言われています。

 コロナ禍が1年半以上も終息しないとは思いませんでした。緊急事態宣言の発出、まん延防止等重点措置が発出される度に、飲食店に対する営業時間の短縮または閉店の要請が繰り返し行われています。特に酒を出す飲食店、カラオケを提供する店に対しては閉店が要請されています。

 この様な状況であることから、特に飲食店において雇用されていた若い方の解雇が急速に進行しています。これに伴い、都区内のワンルームおよび1Kの賃貸マンションまたは賃貸マンションでは部屋を明け渡して実家に帰る方、および家賃が安い郊外の物件に住み替える方が増えています。

 さらに、ファミリー向けの賃貸マンションでも、リモートワークを行える部屋数が多い物件に住み替える方が増えています。

 このため、東京都区内の賃貸物件では空室が急増しています。一旦空室になると、次の入居者がいつまで待っても決まらない物件が増えています。

 また、賃貸店舗では家賃の減額請求が増えています。テナントのオーナーから「家賃の減額に応じなければ閉店して退去する」と言われたことから仕方なく家賃の減額に応じる事案が増えています。

オーナー様が事業用ローンを利用している場合に返済が滞ると...
 「大家さんは大金持ち」というのは過去の話です。コロナ禍が終息しないことから経済的に破綻するオーナー様が増えています。

 事業用物件の購入に際し、金融機関から事業用ローンの融資を受けているオーナー様の中には、金融機関への返済が滞り始めている方がいらっしゃいます。空室が埋まらない、または家賃を減額した場合でも融資を受けた金額を返済しなければなりません。

 毎月返済する金額の減額や猶予について金融機関に相談している場合でも、期限が設けられています。このため、いずれは返済を迫られます。昨年前半に減免を認められた方の多くは猶予期間を一年とされている方が多いようです。この場合、今年の後半からは返済を再開しなければなりません。

 返済できない状況が続くと「期限の利益」を失い、一括返済を求められることになります。一括返済を求められた場合、保有している物件を任意売却または不動産競売により売却しなければならなくなります。

 いずれの場合でも、不動産の市場流通価格を下回る金額で手放さなければなりません。さらに、残債が残ることがあります。

セーフティーネット保証制度、および危機関連保証制度
 事業用ローンの返済が滞りそうなオーナー様は、中小企業庁が行うセーフティーネット保証制度、および危機関連保証制度を利用できる可能性があります。

 いわゆる貸し家業の場合でも、収入が前年より20%以上低下した場合にはセーフティーネット保証4号・5号を受けられる可能性があります。必要に応じ相談されることをお勧めします。詳細は、こちらのWEBサイト(中小企業庁)を参照願います。

 コロナ禍がなかなか終息しませんが、あらゆる支援策を活用していただき、何としても生き延びることをお考えください。保証制度の利用は「恥」ではありません。