都内(主に城南:品川・大田)における単身者用賃貸物件の現況

1月中旬における現況ですが、主にワンルームマンションおよび1K、1DK、1LDKの物件の空き物件が既に急増しています。

通常、空き物件の数は2月中旬過ぎに急増しますが、今年は異常に早いです。昨年の夏頃から賃貸借契約の解約(退去)の申し出が徐々に増え始めていることは実感していましたが、年末近くに急増したようです。

東京都内の城南地区において、単身者が好むのは京浜東北線沿線です。東急線(東横線、目黒線)沿線の物件より、家賃が安めであるからです。

レインズで空き物件の数を調べたところ、大井町、大森、蒲田駅から徒歩5分以内のワンルーム、1K、1DK、1LDKの空き物件数は約700件ありました。物件1件につき複数の不動産会社がレインズに登録している物件がありますから、総数から1~2割程度を差し引いた件数が空き物件の数であると思われます。推定600件程度が1月中旬過ぎの時点で空いていることになります。

例年だと空き物件が増えるのは2月以降であり、2月中旬~3月初めがピークになります。1月は空き物件が増える時期ではありません。明らかに異常事態です。

恐らく、新型コロナウイルスの感染拡大により勤務先(特に飲食店や物販店)が倒産または廃業したことから失業し、故郷に帰った方がいらっしゃることと、賃金カットにより賃料を捻出できなくなった方が家賃が安い地域に転居した影響であると考えられます。

空室が増えている原因は他にもあります。ここ数年の間に相続税その他の税金対策としてアパート・マンションの建築が推奨され、有望な投資先を見つけられない金融機関が積極的に融資したことも原因でしょう。

これほどまでに空き物件が増えている状況であるのに、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言が発出されたことから内見を控える傾向が続くと、新しい入居者はなかなか決まりません。

内見は激減しています。今年の春は、内見を控える傾向が顕著であることから転居せずに賃貸借契約を更新する方が多くなると思います。新しい入居先を探す方が少ない年になると予想しています。

オーナーは新しい入居者を早く決めて欲しいと不動産会社に迫るのでしょうが、あまりにも空き物件が多い上に物件を探される方が非常に少ないため、不動産会社による販売活動だけでは入居者が決まらない状況です。入居希望者に余程の好条件を提示できないと4月になっても入居者が決まらず、空室の長期化に陥る可能性があります。オーナーにおかれては賃貸条件の見直しが必須です。

ハイスペックの賃貸用戸建住宅やタワーマンションの上層階を除き、敷金1か月礼金ゼロ、または敷金ゼロ礼金ゼロは当然になると思います。それだけではなくインターネット用の光回線を導入して利用料を無料にする、前の入居者が退去した後の原状回復工事およびリフォームを完璧に行う、廊下などの共用部を綺麗にする、賃料を下げる等の必要があると思います。

しかし、オーナーが事業用ローンを利用して賃貸用不動産を購入した場合は、家賃を大幅に下げるとローンの返済ができなくなるので、入居者の家賃を下げるとしても限界があります。

コロナ禍は雇用を奪い、飲食店や小売業の従事者を困窮させていますが、これらの方を入居させている賃貸物件のオーナーも苦しめています。